経済界で「見直し」論議高まるか
現実に大学生の就職活動(企業の採用試験)のスケジュールを決めているのは、経団連の倫理憲章で、これはあくまでも企業側の自主的なルールにすぎないが、この倫理憲章を中小企業も大企業も守ることになっている。このため経団連の倫理憲章が改正されないと、就活も変わらないわけだが、個人参加の同友会の会員の多くは大企業の経営者が多く、経団連の会員企業と重なっているのが現実だ。
就活の早期化、過熱化の是正については、同友会だけでなく、経団連や日本商工会議所(大企業だけでなく、中小企業が多く加盟する経済団体)も理解を示しており、今回の同友会の提言をきっかけに経団連の倫理憲章の見直し機運が経済界で高まることが予想される。
同友会は「就職人気ランキングで上位にある人気企業へ過度な応募が起こる一方、学生は中堅・中小企業をなかなか志望しない」とミスマッチ問題も憂いており、全国の大学や自治体、NPO(非営利組織)などと協力し、中堅・中小企業に学生を紹介する「マッチングシステム」を構築すべきとも指摘している。
同友会は「各業界のリーディングカンパニーは社会的責任を強く認識し、採用スケジュールの変更や新たなルール作りに主導的な役割を果たすべきだ」とも強調しており、経済界の今後の議論の行方が注目される。