覚せい剤使用の暴走車に発砲は当然だ 警官無罪判決、ネットでは支持多数

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   暴走車に発砲して1人が死亡したことを巡り、奈良県警の2警察官に1審で無罪判決が出たことに対し、遺族からは怒りの声が上がっている。しかし、ネット上では、発砲は仕方なかったなどと、判決を支持する声が多数を占めているようだ。

「この裁判はめちゃくちゃだ」「もし警官の家族が乗っていても撃つのか」

   時事通信の記事によると、2003年9月10日夜に当時28歳の男性が発砲で死亡したことを振り返り、母親(74)は会見でこう訴えたという。

「この場合車の方がよっぽど凶器だろ」

   この夜は、奈良県内の国道で、男性が助手席に乗った車が車上荒らしなどの疑いで指名手配を受けて逃走中で、車はパトカーや一般車にぶつかりながら暴走を続け、警察官3人が計8発を撃った。うち2人が撃った計2発が窃盗共犯でもあった男性の首と頭に当たり、1か月ほど後に死亡した。運転席の男性も頭に1発が当たって、大けがをした。この男性は、覚せい剤を使用していたことが分かっている。

   奈良地検は、現場にいた警察官4人を06年1月に不起訴処分にした。しかし、遺族からの請求を受けて、奈良地裁が10年4月に2人について殺人と特別公務員暴行陵虐致死の罪で異例の付審判決定をしていた。

   審理は、裁判員裁判で行われ、検察官役の指定弁護士は、未必の殺意があり、正当な行為とは言えないなどとして、12年2月20日の公判で警察官2人に懲役6年を求刑した。これに対し、奈良地裁は28日、発砲に違法性はなく、殺意もなかったなどとして無罪判決を言い渡した。

   指定弁護士は控訴する方針というが、ネット上では、判決を支持する声が多数上がっている。「この場合車の方がよっぽど凶器だろ」「そりゃ車で突っ込んできたら撃つんじゃね?」「これが有罪なら日本は終わる」などと書き込まれ、遺族が裁判を批判したことに反発の声が相次いだ。そもそも奈良地裁が付審判決定したこと自体にも、疑問の声が上がっている。

2審以降も無罪かは五分五分との見方も

   市民が下した今回の判決は、2審以降も支持されることになるのか。

   板倉宏日大名誉教授(刑法)は、警察官2人が無罪になるかどうかは五分五分だという。その理由については、こう述べる。

「警察官は、運転者男性の腕を狙って撃っており、そうなれば死んでしまうこともありえます。適法であったかどうかは、微妙なところだと考えられるからです。覚せい剤を使用して暴走運転をしていれば、発砲も仕方がないと考えられますが、ほかの方法がなかったのかという問題が残るわけです」

   奈良地裁が付審判決定をしたのは、当時の報道によると、発砲は合理的に必要と判断される限度と認められないことが挙げられていた。そして、死亡した助手席の男性は、車を運転してなかったにもかかわらず、警察官が狙って撃っていたとかなり踏み込んだ判断をして、拳銃使用を違法だとしている。

   付審判の請求は、ここ50年ほどで約1万8000件あるが、決定までするのは少なく、20件ほどしかないという。しかし、有罪にまでなったのは9件だといい、無罪になる確率が若干高いようだ。

   板倉名誉教授は、今回の裁判が最高裁までもつれた場合は、無罪判決が支持される公算が6割ほどはあるとみている。

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