2審以降も無罪かは五分五分との見方も
市民が下した今回の判決は、2審以降も支持されることになるのか。
板倉宏日大名誉教授(刑法)は、警察官2人が無罪になるかどうかは五分五分だという。その理由については、こう述べる。
「警察官は、運転者男性の腕を狙って撃っており、そうなれば死んでしまうこともありえます。適法であったかどうかは、微妙なところだと考えられるからです。覚せい剤を使用して暴走運転をしていれば、発砲も仕方がないと考えられますが、ほかの方法がなかったのかという問題が残るわけです」
奈良地裁が付審判決定をしたのは、当時の報道によると、発砲は合理的に必要と判断される限度と認められないことが挙げられていた。そして、死亡した助手席の男性は、車を運転してなかったにもかかわらず、警察官が狙って撃っていたとかなり踏み込んだ判断をして、拳銃使用を違法だとしている。
付審判の請求は、ここ50年ほどで約1万8000件あるが、決定までするのは少なく、20件ほどしかないという。しかし、有罪にまでなったのは9件だといい、無罪になる確率が若干高いようだ。
板倉名誉教授は、今回の裁判が最高裁までもつれた場合は、無罪判決が支持される公算が6割ほどはあるとみている。