米アップルのタブレット型端末「iPad」の新モデル発表が、現実味を帯びてきた。米国時間2012年3月7日にアップルはメディア向けのイベントを開催し、そこで新型iPadをお披露目するのでは、とささやかれている。
新型機の「進化」については、これまでに多くの「うわさ」が流れているが、現行モデルとの大きな違いとして、次世代高速通信「LTE」に対応すると言われている。日本での発売時にはどうなるのか。
ソフトバンクは「LTEの一種」で商用化
米ウォールストリートジャーナル電子版(WSJ)は2月29日付の記事で、アップルから届いたメディアイベントの招待状を掲載した。イベント開催は3月7日。そこにはiPadとみられるタッチ式ディスプレーに触れる指先の画像とともに、「われわれには、どうしても見て、触れていただきたいものがあります」との言葉が添えられていた。具体的に何を指すのかは書かれていないが、WSJをはじめ主要メディアは「新型iPadの発表会」と予想している。
現行の「iPad2」が発表されたのが1年前の2011年3月。タイミングとしても「そろそろ」と見る向きが多く、最近では新機能をめぐっての話題が絶えない。中でも注目されるのが、高速通信の規格「LTE」に対応するのではないかという点だ。
米国で「第4世代(4G)」に位置づけられるLTEは、米国の携帯電話会社ではAT&Tとベライゾンの2社が採用しているが、いずれも「アイフォーン(iPhone)」の販売を手掛けている。WSJの2月14日付の記事では、この2社はLTEのネットワーク構築に多額の投資をしており、新型iPadを投入すれば既存の契約者に対して、以前よりも高額な料金体系で高速な接続が可能になるLTEへの「乗り換え」を促進できるだろうとしている。
しかし、これが日本になると少々事情が異なる。現在iPadは、ソフトバンクモバイル(SBM)が独占的に販売している。一方、LTE対応のスマートフォンやタブレット型端末を出しているのは、NTTドコモだ。仮に新型の「iPad3」がLTEに対応するとなれば、国内ではどうなるのか。
SBMは2月20日、「ソフトバンク4G」という高速通信サービスを開始したが、実はこの通信規格はLTEの一種である「TD-LTE」だ。海外では中国移動通信(チャイナモバイル)が中心となって普及に動いている。