「今日はどのコーヒーにしましょうか」と問いかける
関根CEO は、この浅めの焙煎のコーヒーを米シアトルの本社で試飲した際に、「日本でも受け入れられる」と感じたという。スターバックスには以前から「味が強い」と訴える人も多く、浅めに焙煎したコーヒーへのニーズを認識しており、軽めのローストでもしっかりと洗練された風味とコクを出せる商品に仕上がった。スターバックスから新しく発売する豆が単純に薄味なわけではないと強調するのは、先述のコーヒースペシャリストの江嵜氏だ。コーヒー豆の焙煎方法は、時間や火加減の微妙な調整によって変わる。わずかな調整の違いで豆がおいしくなくなってしまう。スターバックスは、独自の浅煎りの手法で、「冷めてから飲んでも、コーヒーに欠かせない酸味がしっかりしたままで、口の中で風味が残ります」と説明する。
関根CEOは、既存のものより浅い焙煎のコーヒー豆を発売するからといって、これまでに培ってきたスターバックスのブランドイメージを変えるわけではないと明言する。むしろ製品のバリエーションを増やすことで、「時間やシチュエーションに合わせて、『今日はどのコーヒーにしましょうか』とお客様に問いかけていけるのではないか」と話す。