「菅首相」の原発事故対応に「ゾッとした」 「民間事故調報告」にみる「イラ菅」の功罪

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「結果的に東電に強い覚悟を迫った」

   「乗り込み」案件については、当時から「現場の士気を削いだ」という批判と、「怒鳴ったお陰で東電が踏みとどまった」「よく言った」とする称賛の声がネット上などで指摘されていた。

   報告書では、「乗り込み」案件に関連して、「結果的に東電に強い覚悟を迫った」と、菅氏の行動を評価した。

   東電側は以前から、「全面撤退ではなく一部撤退の要請」と反論している。しかし報告書では、当時の清水正孝社長が未明に何度も政権幹部らに電話している点から推定し、全面撤退を求めていたのだとみている。菅氏らの主張に沿う形だ。

   また、報告書はいわゆる「ベント」問題にも触れている。2011年3月12日未明、菅氏は福島第1原発へ向かうヘリの中で、水素爆発の可能性について原子力安全委の斑目春樹委員長に質問した。答えは「爆発はしない」だった。現地についた菅氏は、ガスを放出する「ベント」の早期実施を東電側に強く求めた。

   しかしその午後、1号機原子炉建屋が水素爆発した。「爆発しないって言ったじゃないですか」と驚く菅氏に対し、斑目氏は「あー」と頭を抱えた。

   報告書では、官邸の決定や菅氏の要請について「ベントの早期実現に役立ったと認められる点はなかった」としている。

   報告書の内容を報じる2012年2月28日付の各紙の朝刊には、「菅首相介入で混乱拡大」(読売新聞)、「菅氏の『人災』明らか」(産経新聞)といった見出し(東京最終版)も並んだ。

   一方、朝日新聞の見出しは「東電 組織的な怠慢」などで、菅氏による介入には、記事でも焦点を当てていない。読売新聞の別記事では、「菅氏の個性 正負両面に」という見出しだった。

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