1歳女児の裸の写真を男性に提供したとして、長野県在住のパート従業員女性(43)が、児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕された。一般常識では、まだ赤ちゃんだが、どんな場合に児童ポルノとみなされるのだろうか。
逮捕された女性は、なんと女児の母親だった。
実母10人など検挙の広域事件と関連
宮城県警岩沼署などによると、女性は2010年4月7日に、女児の裸の写真と動画を携帯電話のカメラで撮り、携帯サイトのネットオークションで知り合った神奈川県在住の会社員男性(44)に複数を携帯メールに添付して送った疑いがある。生活が苦しくて犯行に手を染め、男性から6000円を受け取ったといい、12年2月23日に逮捕された。男性は、写真などを保存していただけのため、犯罪とはみなされなかった。
児童ポルノと判断された女児の裸写真は、どんなものだったのか。性的な興味はなく、かわいいと思って撮った1歳児の普通の裸写真などでも、提供すれば違法とみなされてしまうのか。
この点について、岩沼署の副署長は、取材に対し、こう説明する。
「女児が撮られたポーズなどについては、わいせつ写真だとしか言えません。親が裸のスナップ写真を販売目的でネット上で相手に渡せば、そうみなされます。要は、提供する目的の問題です。普通にかわいいというのと目的が違っています。普通なら写真などを売らないでしょうし」
赤ちゃんの写真に性的な興味を持つというのも、不可解な点だ。
これについては、「こちらでも分かりません。性癖の問題だと思います」としている。
実は、今回のケースは、宮城県警が警視庁と合同捜査本部を作って、09年6月から実母10人を含む計15人ほどを検挙した広域事件と関連するものだ。
これらの事件では、別の1歳児なども被害に遭っており、新聞各紙によると、赤ちゃんへの犯罪としては、かなり卑わいなものだったらしい。
裸で両足を広げたポーズを撮った例も
有罪判決を受けた宮城県在住の主婦は、1歳の娘に裸で両足を広げたポーズをさせて携帯カメラで撮り、それら約80枚を計15万円ほどで売り渡していた。2歳の娘を同様なポーズで撮っていた別の母親もいた。
また、事件に関わったとして実刑判決を受けた東京都内の無職男性は、母親が引き合わせた1歳の娘に対し、母親の目の前でわいせつな行為までしていた。この男性は、「幼い子には汚れがない」と明かしたといい、赤ちゃんにも性的な興味を持つ人はいるらしいのだ。
事件発覚のきっかけは、宮城県内のある女性が、1歳の娘の写真を買い取った大阪府内の女性と金銭を巡るトラブルになり、県警に相談したことだった。大阪の女性は、ほかの母親からも買い取って、ネット上で男性らに売りさばいていた。そして、それから芋づる式に母親らの犯行が明らかになっていった。
岩沼署の副署長は、そのことについて、「(大阪の女性を含め)写真などを買っている人は、複数の画像を持っています。『これはどこから買ったものなのか』と追及することで、関連が分かってきます」と解説した。
母親らは、使用済み下着売買の裏サイトなどを通じて、娘の写真提供を持ちかけられており、今回逮捕の女性も、男性に下着などを売っていたことが分かっている。事件では、数万点の写真などが警察に押収されており、中には、10年ほども続けて前出の無職男性から60回分の計約300万円を受け取っていた母親もいた。
新聞などでは、この事件以外にも、1歳児などの裸写真提供者の検挙が時々報じられている。