企業から運用を受託した約2000億円もの年金資金の大半を消失したとして金融庁から1か月の業務停止命令を受けたAIJ投資顧問が、タレントの清水国明氏が社長を務める「ワークショップリゾート」に出資していることがわかった。
清水国明氏は2012年2月26日、「AIJ投資顧問について」と題して自らのブログでそのことを認めている。
AIJ社長の親族が取締役辞任
清水国明氏が経営する「ワークショップリゾート」は、2005年3月に設立された。資本金は約3億7000万円。山梨県富士河口湖町の豊かな自然と観光資源を活用して、「自然と健康」をテーマにした自然体験と、モノづくりや劇場、研修施設などを用意した「自然樂校 森と湖の楽園」を運営する。
年齢を問わず、誰もが自然に親しみながらバーベキューやキャンプを楽しんだり、企業の社員研修ができたり、社員旅行プランもある。
「健康と長寿」を2大テーマに取り組み、それに共感して、出資や社債を通じて支える企業の一つとして、AIJ投資顧問があった。
同社のホームページによると、出資に協力した企業には、旅行会社大手のエイチ・アイ・エスや船井財産コンサルタンツ、ファンドクリエーション、フルキャストなどの名前があがる。清水氏の実姉である橋本真由美氏が会長を務めるブックオフコーポレーションもそうだ。
AIJが出資した経緯など詳しいことはわからないが、出資比率は3割程度という説も出ている。清水氏はブログで、「私が社長をしているワークショップリゾートには、現在34名(社)の株主さんがいます。その中の一つが、今話題のAIJ投資顧問です」と、出資があることを認めたうえで、「2005年の会社設立の時、『エンジェルフォーラム』という、たくさんの投資家の前で新規の事業計画を発表し、出資をお願いする会に出席して、何社かの出資が決まり、AIJはそのうちの一社でした」と、綴っている。
ワークショップリゾートによると、実際にAIJが株主になったのは2006年5月末で、「社外取締役就任が出資の条件だった」と明かしている。AIJの浅川和彦社長の親族が社外取締役に就き、「無給で役員を務めてもらっていましたが、今回のマスコミ報道のような事態になったことで、昨(2月)25日付で自ら辞任されました」(清水氏のブログ)としている。
今期、ようやく黒字に転換
ワークショップリゾートの業績は苦戦続きだったようで、AIJを含め、出資者は設立以来ずっと、配当を得られなかった。
清水氏のブログでは、「企業研修旅行とバーベキューサイト事業の業績が飛躍的に伸びて、私たちは今期、おかげさまで初の通年黒字化を、わずかですが達成することができました」と、ようやく陽が差してきたと報告した。
一方、AIJが約2000億円もの企業年金を消失したことについては、「大きなお金がどこへ、どんな風に消えていったのか、徹底的に調査、検証していただきたいものです」としながらも、「株式会社というのは、すべての株主さんに投資に見合う利益を生みだして還元することが使命だと思っています。商法的に、そのことでしか私たちは今回の事態に関わることができない、のだそうです」といっている。