12年後半には貿易収支が黒字になるとの見方も
こうなると、国内で90%以上を消化し、ギリシャとは違うと思われている日本国債の一部は外国人投資家にファイナンスされる必要が生じることになる。菅野氏は、国債利回りは急上昇する可能性を指摘し、財政再建の緊急度も高まっているとの認識を示している。
もちろん、悲観論一色ではない。ニッセイ基礎研は「2012年前半は輸出の低迷や原油価格の高止まりから貿易収支の大幅な改善は期待できないが、輸出の伸びが高まること、輸入物価が落ち着きをみせることから、2012年後半には赤字幅が縮小に向かい、2013年1~3月期には小幅ながら黒字に転じることが予想され、……貿易赤字がこのまま定着するとの見方は悲観的すぎるだろう」と分析。財務省幹部は「2012年後半には貿易収支は黒字になる可能性もある」とみる。
貿易赤字が続く可能性が高いとみるシンクタンクでも、「所得収支黒字が底堅さを保つことによって経常黒字が維持されるものと見込んでいる。」(第一生命経済研究所)、「今後も経常収支を支えることが期待され……近い将来において経常収支の赤字が定着するとは断定できないだろう」(伊藤忠経済研究所)といった分析が大勢。みずほ総研のシミュレーション(2月3日)は、原油価格が毎年1バレル当たり5ドルずつ上昇し、円相場も毎年5%ずつ円高になるなどと仮定すると2019年に経常赤字に転落するとの試算を示しつつ、現実には「早期に赤字に転落する可能性は低い」との見方を示している。