週刊文春に「言ってないこと書かれている」 「甲状腺がん疑い」記事に医師が反論

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   福島県から札幌に避難している人に対して超音波(エコー)検査を行ったところ、甲状腺に異常が発見されたなどと報じた週刊文春の記事をめぐり、波紋が広がっている。検査を行った医師と弁護士が記者会見を開き、記事には「事実と違うことや、言ってはいないようなことがある」と反論したのだ。これを受け、文春側も会見を開いて改めて説明する予定だ。

「児童にはほとんどないことですが、がん細胞に近い。二次検査が必要です」

   問題とされているのは、首都圏では2012年2月23日に発売された週刊文春3月1日号に、「衝撃スクープ 郡山4歳児と7歳児に『甲状腺がん』の疑い!」と題して掲載された記事。それによると、

「7歳女児(検査当時)の小さな喉にある甲状腺に、8ミリの結節(しこり)が、微細な石灰化を伴ってみられた」

といい、記事の筆者は、このように連絡を受けたという。

「4歳児で10ミリと4ミリの結節がある子がいる。郡山から来た7歳の女の子や、その他にも異常が出ている。みんな、福島からの自主避難者だ」

   また、超音波の画像を見た医師は、女児の母親に対して、

「児童にはほとんどないことですが、がん細胞に近い。二次検査が必要です」

と発言したという。

エコー検査行った医師、「甲状腺がんの疑い」の根拠を否定

   この記事を受け、エコー検査をした「さっぽろ厚別通内科」の杉澤憲医師と弁護士が12年2月23日夕方に会見し、記事の内容に反論した。杉澤医師によると、甲状腺の検査を受けた18歳以下の人は170人おり、そのうち「5.1ミリ以上の結節や20.1ミリ以上の嚢胞」が確認され「B判定」だとされた人が4人いたが、精密検査の結果、いずれも良性だと判定された。「甲状腺の状態等から判断して直ちに二次検査を要する」とされる「C判定」の人はいなかった。

   杉澤医師が会見で配布した正誤表には、「明らかな事実誤認」6点が指摘されている。中でも、記事中の、

「札幌で甲状腺エコー検査を実施した内科医が言う。『しこりのあった7歳女児と4歳男児の2人に加え、19歳以上の「大人」9人の計11人に、甲状腺がんの疑いがありました。うち成人女性1人は既に甲状腺がんが確定、切除手術を行うことも決まっています。いくら「5歳以下で5ミリ以上の結節ができることはない」と言われても、今回検査をして、これが出たことは事実です』」

という記述について、

「そのような話はしておりません」

と全否定している。「甲状腺がんの疑い」だとされる、記事中の大きな根拠が否定された形だ。

   杉澤医師は、

「僕自身は良かれと思ってやったことが、このように(記事として)出されてしまったことが多くの人を不安に陥れてしまったかもしれないと思うと、少し残念でならない」

と述べる一方、小児甲状腺がんは被ばくから4~5年で発症するとされていることから、出来るだけ多くの人について詳細に経過を観察できるようにする検査態勢づくりを訴えた。

   なお、この文春の記事は、「自由報道協会理事おどしりマコと本誌取材班」とクレジットされている。自由報道協会の上杉隆代表は、記事について、

「長期に亘る取材と綿密な裏取り作業があったことは証明できます」

とツイートしており、自由報道協会は2月24日夕方、おしどりマコ氏と週刊文春の編集部が2月25日19時から記者会見を開くと発表している。

姉妹サイト