新人の韓流アイドルグループ「Block.B」がタイの大洪水について現地メディアで発言したことが物議を醸し、メンバーらが謝罪する事態になっている。韓国メディアからは、拙速な世界進出によるゆがみを指摘する声も出ている。
「Block.B」は、若い男性7人組のグループだ。日本でも、公式サイトやファンクラブが作られ、徐々にテレビや雑誌などでの露出が増えている。
テーブルに寝転がり、猿マネした?
騒動の元になったタイのネットメディア「RYT9」によるインタビュー動画は、2012年1月30日にユーチューブにアップされた。
メンバーの1人が、テーブルの上に足を組んで寝転がりピースサイン…。30分ほどの動画を見ると、いきなりこんなシーンが出てくる。インタビュー中は、わざとワイルドなところを見せようとしているのか、行儀がよいとはとても言えず、テーブルの上に足を上げたり、突然大声を張り上げたり、メンバー同士で雑談したり。拍手をするにしても、両足を鳴らして代用していた。
そして、韓国の大手紙「朝鮮日報」の日本語版サイトによると、メンバーらはタイの大洪水を知っていると答え、こう話したという。
「金銭的な補償で気持ちが癒やされればいいですね。 持っているのはお金だけですから」
メンバー同士で「いくら?」と言い合い、「7000ウォン(約500円)」などと明かし、手を叩いて笑ったとしている。さらに、別の報道によると、メンバーらは、猿のマネなどもしていたそうだ。
騒動になったのは、同じ韓流アイドルグループ「2PM」のタイ人メンバーのニックンさんが、ツイッターで2月19日に「容認できない」などとつぶやいてからだ。それを受けて、Block.Bは翌20日、サイト上で7人全員が謝罪したほか、リーダーのジコさんは自粛の意味から頭を丸刈りにしてお詫びした。謝罪では、韓国のイメージを傷つけたことについても触れている。
「歌だけでなく品格も身に付けよ」と苦言
タイの大洪水では、数百人が亡くなったと報じられている。それだけに、謝罪などがメディアで報じられたものの、ネット上では、タイの人々から「K-POP終了」「人種差別的だ」などと批判が殺到した。タイの大手紙や主要テレビ局も、Block.Bの発言を取り上げ、大騒動になっている。
発言のあったユーチューブ動画は、130万回以上も再生され、高評価が1000人ほどなのに対し、低評価が2万人ほどからされている。
Block.Bは、ゴリラダンスで人気を集めるなど、そのパフォーマンスの自由奔放さが受けていたようだ。報道によると、発表した曲「言ったのか言わなかったのか」は、韓国のテレビ局から低俗な表現だとして放送不適切判定を受け、波紋を呼んだ。また、別の曲「LOL」も、先生や年寄りなどを指す隠語というコンデという俗語が出てくるとして、不適切判定を受けていたという。
朝鮮日報では、2012年2月24日の社説で、Block.Bメンバーに限らず、韓流スターによる軽率な言動が相次いでいると指摘した。ある歌手は「制作費がないときは中国で公演する」と発言し、ある俳優はテレビ番組でフィリピン人の英語発音をマネして、それぞれの国の人々に反感を持たれた。その背景には、拙速な世界進出があり、「歌だけでなく品格も身に付けよ」と苦言を呈している。
また、朝鮮日報によると、Block.B発言を受け、韓国政府も芸能プロに歌手の人格教育に最善を尽くすよう要請すると発表した。これは、韓国が国ぐるみで世界戦略を進めていることを意味するようだ。
なお、Block.Bは、勢いのあるK-POPグループが集まり都内で3月24日に行われるライブイベントには、予定通り参加するという。