総理を目指す政治家としては、度量が狭過ぎる印象
ほかのメディアも「言うだけ番長」と使っているのか。
例えば、読売新聞は「『言うだけ番長』という不名誉なあだ名もある」(11年10月30日付朝刊)など、少なくとも2回使っている。
ほかに、西日本新聞や沖縄タイムスといった地方紙のほか、週刊新潮やサンデー毎日といった週刊誌、夕刊紙でも見受けられる。産経新聞より先に使った例は、分かった範囲では2011年8月のサンケイスポーツ記事が見つかった。使った回数としては、産経新聞が突出している。
前原氏は本当に永田町で「言うだけ番長」と揶揄されているのか。政治評論家の浅川博忠氏にきいてみた。
産経報道が出てくる前は、民主党内の前原評としては、「口が軽い」「フライングが多い」といったものがあった。産経報道以降、「言うだけ番長」という言い回しが、「今では野党の間でも定着しています」。
前原氏による会見拒否については、「総理を目指す政治家としては、度量が狭過ぎる印象を与えてしまった。批判も包み込む『大きさ』をみせるべきだった」と指摘した。
もっとも、前原氏にも言い分はあるようだ。2011年12月22日に日本記者クラブであった会見では、「発言が実現していない」との指摘に対し、「八ツ場ダム以外はできている」と反論していた。確かに、「武器輸出三原則の見直し」など、当初「言うだけ番長」批判を受けながらも後に一部実現した項目もある。
それに、「仲間」が増えるかもしれない。産経新聞は、野田佳彦首相に対しても「どうやら『言うだけ番長』は前原氏だけではなさそうだ」とも書いていた。「言うだけ総理」が広く使われる日が来る可能性もある。