大企業の75%が「電子メールの送信・着信履歴の保存」行う
もっとも、民間企業では、「メールの内容を監視」することは、一般的に行われていることでもある。やや古い調査だが、労務行政研究所の06年の調査では、従業員数1000人以上の大企業の75%が、「電子メールの送信・着信履歴の保存」を行っている。
また、02年2月の東京地裁判決でも、会社側がメールサーバーを調査することは「社会的に許容しうる」とされた。この裁判では、誹謗中傷メールの発信元を調べるため、会社が全社員のメールを調査したところ、ある社員が大量の私用メールを送信していたことが発覚。これを理由に会社側は社員に対して懲戒処分を下したが、社員はプライバシーの侵害と名誉毀損で会社側に損害賠償を求めていた。判決では、大量の私用メールは懲戒の理由になるなどとして、原告側の主張をすべて退けている。
さらに、総務省のウェブサイトによると、組織内のネットワーク(イントラネット)では、電気通信事業法上の「通信の秘密」の保護は及ばないとみなされている。
ただし、企業側は、事前にこれらの運用方針を定めて情報セキュリティーポリシーを策定し、厚労省の指針にあるように、従業員に周知することが望ましいとされている。