北朝鮮報道を専門とするアジアプレス・インターナショナルの石丸次郎大阪オフィス代表が2012年2月23日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で講演し、金正日総書記死去後の北朝鮮内部情勢を報告した。
北朝鮮内部の協力者からの情報によると、正日氏が死去した後に聞こえてきた声は、「哀悼」ではなく「生活の苦しさを訴える声」。国境地帯の警備も非常に厳しくなったことから、物流が滞り、景気も悪化しているという。
6人の北朝鮮住民が記者として活動
石丸氏は中朝国境地帯の取材を繰り返すなかで、北朝鮮住民に対してビデオカメラなどの使い方を教え、現在は6人の協力者が北朝鮮国内で密かに取材活動を行っている。その成果を、雑誌「リムジンガン」で発表している。
石丸氏は、北朝鮮の権力が金正日氏から金正恩氏に移行する中で、
「金正恩氏のイメージを知らせるということで、朝鮮中央通信などの国営メディアがその写真を大量に出し続けている。他に写真や映像が出てこないので、北朝鮮で『作られたもの』だと分かりつつも、世界が官製メディアがつくったイメージを刷り込まれてしまうことを危惧している」
と、公式情報以外の情報がきわめてとぼしいことを指摘した。
とりわけ正日氏死去後、国営メディアは悲嘆に暮れる国民の姿を連日放送したが、「協力者情報」によれば、実態は、かなり違ったものだという。