「フジ側は、パクリ疑惑を否定した」
一連の経緯について、伴一彦さんは2012年2月20日、日本シナリオ作家協会の著作権部会で報告した。それによると、この日にフジテレビのプロデューサーら4人と会って話し合い、伴さんは、あからさまに重なっている設定は止めてほしいと申し入れた。フジ側は、具体的なことは示さなかったものの、今後そうした設定を変えることを約束した。
フジ側は、「パパはニュースキャスター」を参考にしたかについては、そうしたことはないとパクリ疑惑を否定した。そのうえで、この設定はドラマの一部分のことであり、急いでサイト上に番宣を出したため誤解を生んだと説明したという。
伴さんは、それ以上反論する根拠がなかったこともあり、設定変更を承諾して円満に解決したと明かしたとしている。
日本シナリオ作家協会の部会担当者は、こうしたパクリ騒ぎについて、「昔からよくあることで多いです」と話す。
騒ぎについて、伴さんは、「モラルとプライドの問題」と指摘しており、「局の体質にしてはいけません」と訴える。こうした考え方は、ほかの脚本家からも共感する声が寄せられている。
テレビドラマ「サギ師リリ子」などを手がけた村川康敏さんは、ツイッターで「シナリオライターの、没個性化が招いた結果でもあり、ライターに個性を求めない、製作システムの問題でもある」と指摘した。「当事者となったライターの立場も想像できるだけに、業界に蔓延る問題は大きい」ともしている。また、映画「私をスキーに連れてって」で知られる一色伸幸さんは、「僕も明白な盗作されたことありますが、結局お金で解決以外の道はなかったです」とツイートしていた。こうした発言について、伴さんもリツイートして紹介している。
「家族のうた」を書いた脚本家の所属事務所では、取材に対し、「こちらではお答えできませんので、すべてフジテレビにお問い合わせ下さい」と言い、フジテレビの広報部では、設定変更について否定せず、「先方には番組担当者が先日直接お会いして、お話しをさせていただきました。詳細につきましては回答を控えさせていただきます」とコメントしている。