赤ワイン研究者が論文ねつ造 「健康にいい」説に水を差す

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   赤ワインに含まれる成分と健康の関連性について研究が進むなか、米大学の有力研究者が、論文の掲載したデータをねつ造していたと伝えられた。

   大学側は調査を通じて、145か所のねつ造があったと判断。これによりワインの効能そのものに疑問の目を向ける人も出始めている。

長寿に関係があるという「遺伝子」を活性化?

「おいしいワインが飲めればそれでいい」という意見も(写真はイメージ)
「おいしいワインが飲めればそれでいい」という意見も(写真はイメージ)

   赤ワインに含まれるポリフェノールには、シミやシワと関係の深い活性酸素を抑える抗酸化作用があり、動脈硬化のリスクを低減するといわれている。ほとんどの植物に含まれているが、ブドウの果皮や種子まで使ってつくる赤ワインの含有量が多い。

   最近ではポリフェノールの一種である「レスベラトロール」という成分が、2011年にNHKの番組で取り上げられ、国内で話題を集めている。米国の研究で、長寿に関係があるという「サーチュイン遺伝子」を活性化するのがレスベラトロールで、動物実験の結果老化現象を防ぎ、抗がん作用も確認されたというのだ。インターネット通販では、「今、大注目の成分」「高カロリー・高脂肪の食生活を続けている方にオススメ」といった宣伝文句が添えられたレスベラトロールのサプリメントが多数、販売されている。

   今回、データねつ造が取りざたされた米コネチカット大学心臓血管研究所の所長、ディパク・ダス教授は、このレスベラトロールの効能について多くの論文を著していた。大学側は2012年1月11日、内部調査の結果を公表。それによると、ダス教授の論文を掲載した科学誌は11に上るが、3年間の調査の結果、論文中のデータのねつ造や改ざんが認められたというのだ。

   米ニューヨークタイムズ(電子版)も1月11日付の記事で詳細を報じた。問題とされたデータの多くは、実験記録の画像イメージから見つかったという。ダス教授が採用した実験方法では、過去にも別の研究者が記録を意図的に変えた経緯があったため、科学誌では、但し書きを入れない限りはデータ変更後のイメージを載せないように指導していたという。ダス教授はそのルールを破ったようだ。

   大学側は、具体的にどの論文にどのような「偽データ」が掲載されたかは説明していない。ただ米CBSニュースによると、ダス教授は共著を含め150の論文を書いており、2012年1月には「神経の保護から心臓の健全性まで、ワインとアルコールが健康にもたらす効果」と題した研究成果を共同で発表。概要を読む限り、レスベラトロールについても触れられているようだ。

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