被災地への寄付金は確定申告を 所得税、住民税が戻ってくる

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   「確定申告」の受け付けが2012年2月16日に始まったが、今年は寄付金を確定申告する人が増えそうだ。昨年3月の東日本大震災で、被災した自治体などに義援金を送った人が確定申告すれば、状況次第で寄付した額の大半が戻ってくる可能性があるためだ。

   「適切に確定申告をして、還付・控除されたお金をまた被災地に贈ろう」との呼び掛けも強まっている。

全国で8000万人以上が寄付

   総務省によると、昨年10月末現在で、大震災で被災した自治体に寄せられた寄付金・義援金は、宮城県への約450億円、福島県への約344億円などで、計約1256億円に上る。

   日本ファンドレイジング協会が発行した「寄付白書2011」によれば、昨年8月19日現在で震災のために金銭や物資を寄付した人は全国で8457万人。15歳以上の人口の約76%にも上った。

   2010年に寄付をした人は1年間で3733万人(15歳以上の約34%)だったのと比べ、寄付をした人がいかに増えたかが分かる。

   個人が義援金などを出した場合、「特定寄付金」に当たれば寄付金控除の対象になる。国や地方自治体、日本赤十字などへの寄付が対象だ。控除の適用下限額は従来5000円だったが、現在は2000円に引き下げられており、2000円を超えて寄付した場合に控除されることになる。

   例えば年収500万円の会社員が昨年、日赤の震災義援金に3万円を振り込んだ場合、個人所得税は、寄付金のうち2000円を超える部分について10%を上限に控除される。上限で考えれば「2万8000円(3万円-2000円)×10%=2800円」が控除される。所得税の場合は1カ月ぐらいで還付され手元に戻って来る。

住民税の控除額は大きい

   住民税は、同様に2万8000円に所得税率(この男性の場合は10%)をかけた2800円が控除される。

   住民税は、さらに「ふるさと寄付金」の特例を生かすと大きく控除される。出身地やかかわりの深い地域などを応援したいと、自治体に寄付するのが「ふるさと寄付金」だ。

   今回の大震災にあたり、総務省は被災自治体への寄付のほか、日赤や共同募金会、新聞社の募金団体などを通じた募金も対象になり、証明書類も、例えば寄付者名を掲載した新聞記事でも一定の条件を満たしていれば認められる。

   この場合、住民税について、90%から所得税率分を引いた割合についてさらに控除される。前記の会社員の場合、所得税率が10%なら、「90-10%=80%」なので、「2万8000円×80%=2万2400円」が控除される結果、住民税分については「2800円+2万2400円=2万5200円」が、今年分の住民税から差し引かれることになる。

   所得税の2800円を合わせると「2800円+2万5200円=2万8000円計」が控除され、男性会社員の負担は2000円だけという計算だ。

   こうした計算はちょっと面倒だが、国税庁のホームページの「申告書作成コーナー」で所得や寄付額などを打ち込めば自動的に計算し、一番有利になる方法を教えてくれる。

   実際にはさまざま控除額の条件などによって変わり、満額が控除されるケースばかりではないが、「とりあえずは申告した方がいい」というのが多くの税務関係者のアドバイス。確定申告したことのない人も、「手続きが難しく、面倒だ」とあきらめず、とりあえず各地の税理士会などの相談窓口に聞いてみるとよさそうだ。

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