日本側「2万~20万人」、中国側「30万人以上」
日本側論文では、「日本軍による捕虜、敗残兵、便衣兵(編集部注:ゲリラ)、及び一部の市民に対して、集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強姦、略奪や放火も頻発した」と認定した。
「虐殺行為の被害者数」については、中国側見解の「30万人以上」などに触れつつ、日本側研究として「20万人を上限として、4万人、2万人など様々な推計」があるとした。
一方、中国側は、極東国際軍事裁判(東京裁判)の判決にある「20万人以上」や、南京戦犯裁判軍事法廷が認定した「30万人以上」を挙げ、「捕虜と民間人に対して狂気じみた虐殺を行った」などと記述した。
両論文では、被害者数に違いはあるが、「虐殺事件が発生」したことは共通認識になった形だ。しかし、反論もある。
報告書公表の翌朝、産経新聞は社説にあたる「主張」欄で、「『南京虐殺』一致は問題だ」とかみついた。
『南京大虐殺』は当時の中国国民党が宣伝したものであることが最近の実証的な研究で分かってきた」として、「日本軍による集団的な虐殺の有無も、はっきりしていない」と釘を刺した。あくまで「共同研究に参加した学者間の一致」に過ぎないとも強調した。
「虐殺」の被害者数をめぐる見解の相違だけでなく、「虐殺」そのものの認定にも異論が存在している形だ。
河村市長が提案した、南京市での討論会は実現するのだろうか。インターネット上では、河村市長への支持や非難の声のほか、「まずは日本国内の討論会が必要では?」といった指摘も出ていた。