今春で終了するバラエティ番組「クイズ☆タレント名鑑」(TBS系)の存続を求める声が広がっている。
2012年2月19日の放送終了後には、司会を務めるお笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんのツイッターに、
「Twitterで呼びかけて、番組存続デモやりたいくらいです」
「TBSさんのHPから存続希望のメールを送りました」
など、ファンからの熱狂的な意見が書き込まれた。
真相は明らかではないが、今のことろ視聴率不振による「打ち切り」という説が濃厚だ。自称「日本一下世話なクイズ&バラエティ」の視聴率は、なぜ伸びなかったのか。
「続けてほしいという趣旨のご意見は頂戴しています」
「クイズ☆タレント名鑑」は2009年8月に深夜の特番として始まり、翌年から今のゴールデンタイムに進出した。「松島トモ子さんにライオンのエサやりを依頼してみる」や、大相撲の八百長騒動にかけて有名格闘家が相撲で対決する「ガチ相撲トーナメント」を開催するなど、尖った企画で若者の注目を集めていた。
田村さんもこの番組には強い思い入れがあるようで、番組終了が発表された1月22日には「(番組が終わる)ショックから立ち直ってません」とツイート。19日の放送終了後には、
「残念すぎます」「好きな番組に限って打ち切りになっちゃう」
というファンからの投稿に対し、
「みんなに可愛がってもらえる番組に携われて良かった…」「みんなのこえがTBSさんに届けば(特番などの可能性は)あるかもね」
などと返していた。
TBS広報は、「たしかに『続けてほしい』という趣旨のご意見は頂戴しています」と言う。具体的な数字は答えられないが、番組終了が発表されてから届くようになったのは事実だそうだ。
打ち切りは過激な企画が問題になったのではないか、という意見もあるが、芸能評論家の肥留間正明さんは「テレビである以上、数字が原因でしょう」と言う。番組打ち切りが発表された1月22日は8.5%(関東地区 ビデオリサーチ調べ)を記録したが、それ以外の週は伸び悩んでおり、肥留間さんは、この視聴率低迷には3つの原因が考えられると話す。
深夜だったら当たっていた
ひとつめは、日曜8時が「死の時間帯」であるということ。裏番組にNHKの大河ドラマ「平清盛」や日テレの「世界の果てまでイッテQ」という強い番組があるため、もともと視聴率が取りづらい。2つめは、「視聴者層と時間が合っていない」ということ。いまはテレビを見る層が高齢化し、日曜夜の視聴者は、お父さん世代やお年寄りが多くなった。彼らが見たいのは安心して見られる番組で、過激な内容は受け入れられづらい。「深夜だったら当たっていたと思いますが、日曜8時は厳しいでしょう」
3つめの理由は「企画の貧困さ」。「田村さんのやりたいことは分かりますが、どれもオリジナリティに乏しいですね。飛び道具を出したつもりでしょうが『水鉄砲』に見えてしまいます。大人の世代の目はごまかせません」
加えて、「本当にいい番組を作るなら、田村さんだけでなく、台本を練って周りの演者さんもスタッフさんもそれなりの人をそろえなくて、ちゃんとした番組を作らなくてはいけなかった。しかしこの問題は『タレント名鑑』だけに限らず、いまのテレビ界全体に言えることだと思います」と、今のバラエティ界に警鐘を鳴らす。
ただ、お笑い雑誌の「全方位型お笑いマガジン コメ旬 Vol.3」(キネマ旬報社)では「戦うお笑い番組」という特集を組んでおり、一部のファンの間で評価が高かったのも事実だ。ラストに向けた2月26日の2時間スペシャルで、どう暴れてくれるのか。