花粉症に悩まされる季節がやってきた。環境省が、長崎県でスギ花粉の飛散が始まったと発表。民間の気象情報サービス「ウェザーニューズ」は、それより一足早く東京や埼玉、鹿児島で花粉が観測されたと伝えている。
大量に花粉が飛散した2011年に比べて2012年は減少すると予測されているが、それでも「ほぼ例年並み」の量とみられ、注意が必要だ。
関東や九州で「初観測」
環境省が2012年1月27日に発表した花粉飛散予測によると、昨年比では中国、四国地方の一部を除いて全国的に少なくなるという。
確かに2011年の飛散量は度を超えていた。東京都内で花粉を測定する9地点で観測された量は、過去10年の平均値の倍以上となっていた。
スギ花粉の量は、前年の夏の天候と関連が深い。ウェザーニューズによると、記録的な猛暑となった2010年夏と比べて2011年は、西日本を中心に曇りや雨となる時期があり、東日本でも暑さが続いたものの前年と比べれば雲が多く、気温が低い傾向にあった。統計的にも、飛散量が多かった翌年は少なくなるという。今春の花粉の量が昨年比で減少するとの予測も、このためのようだ。
ウェザーニューズは、全国の家庭や病院、企業1000件に花粉測定器を設置し、1日に成人が空気中で吸い込む花粉量の目安情報をウェブサイトで提供している。2012年2月18日17時の状況を見ると、関東では神奈川県平塚市で113個と若干多く、群馬県高崎市で54個、埼玉県深谷市で40個などとなっている。観測された地点も増加気味だ。全国的には山形市で37個、兵庫県川西市で47個、鹿児島市で33個となっている。
時期は例年より遅れそうだ。今冬は全国的に寒さが厳しく、関東から東北南部、北海道の一部では1月前半の気温が平年より1度以上低くなった。2月も低温傾向が続いており、これが飛散開始を遅らせている。環境省によると、スギ・ヒノキ花粉の飛散がピークを迎えるのは、九州で2月下旬、関東南部から北陸、東海、近畿、中国、四国が3月上旬、関東北部で3月中旬、東北は3月下旬になると見込んでいる。期間は20日程度と予測している。
長年の花粉の「蓄積」で発症する人も
昨年より飛散量が減るといっても、安心はできない。環境省では「全国的に例年並みかやや少なくなる」とする一方で、「多くの地域で、花粉症に対し十分な注意が必要なレベル」とも説明している。一方、ウェザーニューズが2011年10月11日の時点で出していた今春の飛散量予測を見ると、東日本から近畿にかけては一昨年の2010年よりも多くなるというのだ。
ある耳鼻科医に取材すると、たとえ1年前より飛散量が減るとはいえ「一度花粉症にかかった人は発症しやすいので、注意した方がよいでしょう」と話す。
花粉症は、それまでの生活で体内に蓄積された花粉が「許容量」を超え、突如発症するケースもある。そのため近年では年配の患者も増えているという。昨年より花粉が少ないと聞いて「今年は大丈夫かもしれない」という心理がはたらくかもしれないが、ある程度の量の花粉を浴びれば発症の「スイッチ」が入ってしまい、つらい症状が出てしまうというのだ。2012年も飛散量が「平年並み」との予測もあるので、たとえ健康な人でもマスクを着けるなど予防をするにこしたことはないと耳鼻科医は強調する。
ツイッターを見ると、「目と鼻がかゆい」「花粉、飛び始めてるな」とのつぶやきが出始めた。季節的にインフルエンザの流行もあり、症状がカゼか花粉症か区別できないという声もあるが、「花粉症の薬をもらいに病院にきた」「飲み薬と点鼻薬もらった」と、来るべき時に備える人も増えている。