大手自動車メーカー8社の2011年4~12月期連結決算が出そろい、トヨタ自動車と富士重工業(スバル)の2社が通期(2012年3月期)の最終損益の業績予想を上方修正した。日産、ホンダなど残る6社は下方修正となり、海外生産比率の高いマツダは最終赤字が従来予想の190億円から1000億円に大幅に拡大する見通しとなった。
この明暗を分ける要因は何か。歴史的な円高が自動車輸出の採算を悪化させ、東日本大震災とタイの洪水被害がサプライチェーンを寸断し、減産を招いたという外的要因は、各メーカーともほぼ共通している。海外生産が少なく、国内生産比率が高いメーカーほど苦戦を強いられており、マツダは最終赤字が拡大する理由を「構造的な問題解決の遅れだ」(山内孝社長)と説明した。
主力市場の米国で3年連続過去最高を更新
事実、海外生産比率が高い日産は販売が好調で、通期の最終損益の予想こそ上方修正とならなかったものの、最終利益が2900億円と、トヨタの2000億円、ホンダの2150億円を上回り、国内トップの好業績となる見通しだ。トヨタは国内生産比率が高いものの、通期見通しを上方修正したのは、タイの洪水被害の復旧が進み、従来予想よりも生産が回復すると見ているからだ。
ここまではマスコミ報道が伝えた通りだが、マツダ同様に国内生産比率が高い富士重工が好調な理由は、なかなか説明できない。富士重工によると、2011年の世界販売台数は61万7000台で、前年を5.2%下回ったが、同社の主力市場の米国は26万7000台で同1.2%増となり、リーマン・ショック後も3年連続で過去最高を更新する唯一の自動車メーカーとなった。
国内は震災の影響で15万8700台と、同10.2%減少したが、生産が回復した10月以降は3カ月連続で前年を上回る回復ぶりを示している。とりわけ12月に発売した新型インプレッサが好調で、発表後の2カ月で月間の販売目標2200台を大きく上回る1万3532台を受注し、米国でも1月の販売が6221台と前年の3倍近い数字を達成した。関係者によると、「インプレッサの納車は国内で3カ月待ち。インプレッサの好調も加わり、日米の生産工場とも稼働率が100%を越える操業を続けている」という。