「マインドコントロールは、ヤドカリそのもの」
中島知子さんが自宅前に個人事務所を借りたのも、占い師の指示だったという。有田芳生さんによると、事務所になったのは数年たってからで、実際は、占い師の親族を住まわせるのに使っていた。
その後、食べものや旅行などに使うため、中島さんの預金がどんどんなくなっていった。自宅などの家賃が滞納になったのは、預金残高が底をついたためではないかと有田さんは推測する。
占い師が芸能人らをマインドコントロールしたのは、これまでに5、6人おり、生活が行き詰まると次のターゲットに移ることを繰り返していたという。支配された人は精神的にズタズタになってしまうため、訴えることもできないそうだ。こうしたやり方について、有田さんは、ヤドカリそのものだと指摘した。
もっとも、中島さんの親も心配して、占い師の支配から抜け出させようとした。2011年7月には成人に対しては異例の人身保護請求を裁判所に行い、その結果、中島さんはいったん病院に入院した。ところが、退院すると、すぐに占い師との共同生活に戻ってしまった。
占い師に傾いたのは、中島さんが交際タレントとの破局などに悩んでいたことがきっかけとされる。有田さんは、原因があるからマインドコントロールされると指摘し、占い師への依存では悩みは解決しないことを中島さんが理解するよう専門カウンセラーに見てもらうことが必要だとした。
中島さんの問題について、精神科医の和田秀樹さんは、こう語る。
「マインドコントロールされると、脳のプログラムが書き換えられている状態になります。ですから、抜け出すためには、もう一度プログラムを書き直さないといけません。それには、カウンセリング治療の通院が数か月、場合によっては数年もかかるでしょう。確かに、財産がなくなれば関係はなくなると思いますが、それから治療すると人間不信になるなどの副作用が出かねません。日本では、自殺するなどの要件がないと強制入院させられないのですが、周囲が協力してこの問題を早くなんとかしないといけないでしょうね」