キックボクシング、空手など立ち技系格闘技最強を決める大会「K-1」のトップスターだったマイク・ベルナルドさん(42)の死亡が2012年2月15日に報道された。
ファン達は悲しみに包まれるなか、ベルナルドさんが活躍した「K-1」の黄金期を思い出し「あの熱い戦いをもう一度見たい」と切望している。しかし、2011年は運営会社FEGの経営不振で興行が打てず、もう「K-1」を見ることは出来ない、といった悲痛な声もネット上に出ている。
11年の興行は国内選手の試合が1回だけ
ベルナルドさんは南アフリカ共和国出身で、95年に初来日して「K-1」に参戦。アンディ・フグ、アーネスト・ホースト、ピーター・アーツといった人気選手と共に90年代後半から00年代途中までの黄金期を支えた一人。ライバルだったジェロム・レ・バンナ選手との死闘は今でも語り継がれている。日本のバラエティー番組やCMにも登場し、「切れてな~い!」というお茶目なセリフでも有名だった。
2000年にボクシングWBFの世界ヘビー級王座を獲得後「K-1」と距離を置くが、急性白血病で急死したアンディ・フグが「自分の代わりにベルナルドに戦って欲しい」と語ったことを知り、全てのボクシングのスケジュールを投げ打って「K-1」に復帰、06年まで現役を続けた。
そんなベルナルドさんの死亡が報道された。「K-1」で活躍したレイ・セフォー選手や、ベルナルドさんの弟子たちが「ツイッター」や「フェイスブック」を使って公表したもので、自殺との見方もあるが真相は分からない。
ネットには早すぎる死を悼む書き込みが溢れ、ベルナルドさんの試合の様子がアップされている「ユーチューブ」の動画を見ては悲しみに浸っている。そんなファンが書いた掲示板のコメントで目立っているのは、
「ベルナルドが活躍していた頃のK-1の黄金期がもう一度見たい」
というもの。しかし、「K-1」を運営していたFEGが経営不振となり11年の興行は国内選手の試合が1回だけで、テレビからも姿を消した。不振に陥ったのは「K-1」人気の低迷だった。
石井元館長が「K-1連盟」を新たに設立?
全盛期はゴールデンタイムでの放送権料は推定2億円、大晦日は9億円と言われていたが、ゴールデンタイム枠が減り深夜に移行した。選手に支払うギャラは高額だったが、支払いが滞り1億円近い未払いがあると訴える選手も出た。
2011年3月の大震災も影響した。興行日程が二転三転し、資金調達も滞った。毎年行われているファイナル「K-1 WGP」を中国・南京で11年10月29日に開催するとしていたが、これも中止に追い込まれ、「K-1が消滅」と書き立てるメディアまで出た。
「K-1」はもう無くなってしまったのか。ささやかながら動きはないわけではない。
「K-1」の創始者で興行ライセンスを持つ正道会館宗師の石井和義さんが、11年11月に「国際K-1連盟(FIKA)」を設立すると発表。中国の投資会社の支援を受け香港に拠点を構えるというのだ。石井さんは03年に脱税事件で「K-1」の運営から手を引いたが、FEGの不振によりFEGに与えていた独占興行権を剥奪し、「FIKA」でカムバックし興行を再開させると言う。
公式ホームページにはライト級、ミドル級、ヘビー級の試合を組み、12年4月までには国別代表トーナメントを行うと記載されている。実現すればファンにとって待ちに待った「K-1」の再スタートとなるのだが、その後の経過報告などは何もなく、本当に計画が進んでいるのか何もわかっていない。