日銀には「覚悟がない」
一方、高橋洋一・嘉悦大教授は、「FRBの政策はインフレ目標だが、日銀のはインフレ目標になっていない」と指摘する。元財務省官僚の高橋教授はかつて、現FRB議長のバーナンキ氏のインフレ目標論に関する本を、単独インタビューもつけていち早く日本に紹介している。
高橋教授によると、「インフレ目標」と呼べるかどうかの今回のポイントは、「報告義務の有無」ではなく、目標達成ができなかった場合に「責任を取るという覚悟を示しているかどうか」にあるという。
FRBの「ゴール(目標)」では、報告義務はないものの、「物価上昇率を金融政策でコントロールできる」としており、「目標達成に失敗すれば、議会などで説明するのは当たり前だという姿勢、覚悟を示している」というわけだ。
一方、日銀は「逃げをうっている」。日銀は、金融緩和だけで物価を上昇させることはできず、政府の成長戦略や企業努力も必要との考えを示しているからだ。
高橋教授は「日銀の腰が引けた覚悟のなさは、見透かされてしまう」として、「これでは、『事実上のインフレ目標』にもならない」と指摘した。もっとも、「何もしないよりは良いが…」とも話した。
2月15日付の全国紙朝刊各紙に載ったエコノミストらの見解の中にも「FRBは能動的、日銀は受動的」といった違いを指摘する声があった。
安住淳財務相は2月14日、「(日銀が)実質的にインフレターゲット(目標)を設定したと受け止めている」と歓迎したが、民主党内からは早くも「『めど』ではあいまいだ」などと不満の声が上がり始めている。