自治体から「二度手間」という不満も
ただ、政府は特区については漁業権の規制緩和など数十項目、交付金についてもインフラ復旧など40事業を提示したが、「認可を迅速に進めるため」とはいえ、自治体からは「選択肢が狭い」など期待外れとの声が出ている。実際、ある自治体は公共施設の耐震化を「震災復興ではない」と、交付金対象にすることを断られたという。
執行体制にも疑問の声が上がる。被災地には国土交通省や農水省の出先機関があり、事業の「執行権限」は各府省が握ったまま。復興庁は組織図の上では省庁の一段上の「格上」とされ、各省庁への「勧告権」も明文化されているが、強制力はない。
復興関連予算も復興庁が財務省に一括して要求し、個別事業への予算配分も決めるとされているが、「復興庁を通すだけで、予算要求・配分は実質的には既存官庁がやる」(経済官庁関係者)と見られ、復興庁が単なる「調整官庁」となる可能性がささやかれる。
このため、自治体からは「結局、予算であれ特区であれ、陳情は各省別にせざるを得ない」(ある県関係者)、「復興庁に行くだけ、2度手間になる」(ある市の関係者)といいた冷めた声が早くも出ている。