バレンタインデーはチョコレートではなく棒状のスナック菓子「うまい棒」の日にしよう――。そんな変わった「運動」がネットで起きている。コンビニチェーン「ローソン」で2012年2月14日に全ての「うまい棒」を買い占めようというのだ。
バレンタインデーは「リア充」(実生活が充実している人)の日になっているが、「非リア充」も何か楽しまなければならない、というのがこの動きの発端。「非リア充」は「うまい棒」を買い占めて存在をアピールし、チョコレートを忘れさせるほどの「バレンタインデー革命」を起こそう、というのだ。
バレンタインデーは「非リア充」にとって辛い日
掲示板「2ちゃんねる」に12年1月31日、コンビニにある商品を買い占めて世間を驚かせたいという提案が出た。ここから、バレンタインデーの主役であるチョコレートと「うまい棒」を逆転させる「革命を起こしたい」、となった。全国の「非リア充」に呼びかけ「ローソン」で買い占めることが決まった。
実はバレンタインデーは「非リア充」にとって辛い日だ。彼女はいないし義理チョコすらもらえない人が多い。ネットでは毎年、恋人がいない自分はどう過ごせばいいのか、などと話題になり「非リア充」同士で傷を舐め合うような議論が活発に行われている。そこに、
「我々はただこの日を 怯えて過ごすしか無いのか? いや、それでは駄目だ!」
「チョコの変わりにうまい棒を買いまくり、世の注目をバレンタインからうまい棒に向けよう」
などという掛け声が上がり全国の「非リア充」の決起を促した。
今回の運動は2月14日の17:00から21:35ごろまで、チョコ味を除くありったけの「うまい棒」を買ってしまおうと企画された。買うのは「ローソン」店舗だが、近所にない場合は他のコンビニでも可とした。また、今回の運動参加者と店舗で遭遇した場合は「よう中島」と声を掛け、連帯感を高めようともしている。
この運動の告知として、動画投稿サイト「ニコニコ動画」「ユーチューブ」に参加を呼びかけるオリジナルの動画をアップ。北海道から沖縄まで47都道府県ごとの掲示板を作った。また、「ミクシィ」「グリー」といったSNSや「ツイッター」にも支部を設置している。
「うまい棒」を販売している、やおきんが今回の運動を知ったのは1週間ほど前だそうだ。コンビニチェーンの何社から「ストックを増やしたい」とし追加注文が来ているという。担当者は、
「当社の商品を話題にして頂きとてもありがたいです。バレンタインデーは『うまい棒』になれば本当に嬉しいですね」
と話している。
「普段と変わらない」と話す店舗も
ただし、この運動が盛り上がっているかというと、微妙だ。運動の公式ホームページには買占めの参加を表明した人数がカウントされていて、13日までに1716人が表明したと書かれている。「ミクシィ」単体で参加表明したのは14日までで147人。「ニコニコ動画」には告知の動画が2本アップされているが、再生数はというと6656回と7720回となっている。参加者の中にはこの数字を見て掲示板に「思ったよりも伸びなかった」と落胆の書き込みをする人もいる。
東京と大阪にある数店舗の「ローソン」に14日午後6時頃に聞いてみたが、
「普段とあまり変わりませんねぇ」
という返事だった。
「ローソン」の広報は
「何がどれだけ売れたかの集計結果は翌日に出ますので、今のところはなんとも言えません」
ということだった。