交流サイト「フェイスブック(FB)」で、実名で登録したにもかかわらずアカウントを停止された人が現れた。著名人と同姓同名だったことが原因の可能性が高いが、本人にとっては迷惑な話だ。
同様のケースは海外でもしばしば起きている。偽名やなりすまし排除が強化される一方で、妙な疑いをかけられるユーザーも出てきている。
通告メールの題名に「偽名」と付けられる
突如FBからアカウント停止を宣告されたのは、出版社「主婦の友」社に勤務する坂本龍馬さん。幕末の志士と同姓同名だが、れっきとした本名だ。2011年12月14日、坂本さんはブログに、突然「登録されている名前が実名でない」との通告とともにFBが使えなくなったとつづった。停止されたアカウントを再開させるには、運転免許証など顔写真付きの身分証明書を2点以上送らねばならないという。坂本さんはFB側の対応に、「一方的、かつエラソーなメールで誠に不愉快」と怒りをあらわにした。
FBでは実名登録を義務付けており、規約に違反した場合にはFBの利用を停止することがあると定めている。坂本さんの場合は本名を名乗っていたのだからもちろん、規約には反していない。だがブログによると、送られてきた通告メールの題名は「偽名」となっており、ルール違反したと決め付けたかのような書き方だったという。その後疑いは晴れて坂本さんのFBのページは復活したが、何の落ち度もない坂本さんとしては憤慨するのも当然だろう。
坂本さんの登録名は現在アルファベット表記になっているが、同じく「Ryoma Sakamoto」で登録しているユーザーは数人見られた。今回坂本さんが「偽名」と断定された根拠は謎だ。ほかにも歴史上の偉人や著名人と「同姓同名」の登録者も少なからず存在しており、実名かそうでないかは判断が難しい。
悪質ななりすましを見つけた場合、FB側に知らせる手段はある。偽名とみられるユーザーのページに行き、「報告」機能を使って「私の以前のアカウントです」「この人物から嫌がらせを受けています」「このプロフィールは他の人になりすましているか、偽プロフィールです」といった項目から該当するものを選び、管理者側に送信する。その対応については「報告が適切に提出された場合は、問題のコンテンツをただちに削除するか、それへのアクセスを停止します」とあるが、いつどのような判断を下すかはFBに委ねられている。
「若干のミスは避けられない」と弁解
海外でも著名人と同姓同名だったことが影響して、FBに利用停止を受けた人がいる。英大衆紙デイリーメールの電子版「メールオンライン」は、「被害」を受けた2人の女性を紹介した。その氏名はいずれも「ケイト・ミドルトン」さん。2011年4月29日に英ウィリアム王子と結婚した女性と同じ名だ。世間がロイヤルウエディングにわく中、2人のミドルトンさんは突然FBへのアクセスができなくなったという。
2人のうち1人は生まれも育ちも米国で、英王室に嫁いだミドルトンさんと面識があるわけでも、ましてその名を語ろうと企んだわけでもない。ツイッターに「私が偽名を名乗っていると判断されて、FBが使えなくなった」と不満を爆発させた。この2人以外にも英国で2人、豪州で1人のケイト・ミドルトンさんがアカウント停止となったと報じられた。FBは「メールオンライン」に対して、「セキュリティー確保のため、若干のミスはどうしても避けられない」と弁解しているが、あらぬ疑いをかけられた側としてはたまったものではないだろう。
国内でも2011年2月上旬、実名で登録していないとみられるユーザーのアカウントが数多く停止される騒ぎが起きた。規約に基づいて「FBは実名で」を浸透させるためと推測される。だが今回の坂本さんやミドルトンさんに対する停止措置を考えた場合、著名人と同姓同名だからといってすぐに「なりすまし」と断定するのは少々乱暴にも思える。