「食事会は若返りの特効薬」 地元親睦団体と被災者の交流【岩手・花巻】

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食事をとりながら、語らいに花を咲かせる参加者たち(奥のメガネの人が立花さん、その右が中村 さんと上野さん)=花巻市の二枚橋町で
食事をとりながら、語らいに花を咲かせる参加者たち
(奥のメガネの人が立花さん、その右が中村 さんと上野さん)=花巻市の二枚橋町で

(ゆいっこ花巻;増子義久)

   「食事も美味しいし、何よりも暖かい雰囲気がうれしい」―。寒波が続く8日、花巻市内の住宅の一室から明るい声がはじけた。二枚橋地区のお年寄りの親睦団体「福寿会」(川村菫子会長、会員16人)の定例のお食事会。「後に残される夫のことが心配だ」と言い残して亡くなった近所の奥さんの"遺言"がきっかけ で、平成7年に誕生した。以来、毎週水曜日に欠かさずに続けてきた。


   「あの大震災の被災者の皆さんもきっと寂しい毎日を過ごしているはず。一緒に食事でもできれば…」(川村会長)。花巻に避難している被災者の消息を市社会福祉協議会に問い合わせたが、「個人情報だから」と断られた。この話が回り回って「いわてゆいっこ花巻」に届けられ、昨年12月7日に第1回目の交流会が開かれた。


   この日参加したのは大槌町出身の中村幸子さん(73)と上野安子さん(61)の2人で、ともに2回目。着のみ着のままで故郷を追われ、今は花巻市内で一人暮らしを続けている。この日の献立は麦トロにさんまの柔らか煮、シミ大根の煮つけ、菜っ葉汁、ホタテとワカメの酢のもの、デザ-トの豪華版。


   「ご馳走はもちろんのことだけど、この場の和やかな雰囲気が一番のご馳走。津波の話ばかりだと落ち込んでしまう。だから花巻のことをもっと知り、前を向いて生きていきたい」と上野さん。会員では最高齢の川村フミさん(91)が「うん、うん」とうなずきながら聞き役に回る。「遠野まごころネット」を拠点にボランティア活動を続けている神戸市出身の立花昇さん(63)も「被災者の皆さんの心に接したい」と飛び入りの参加。「阪神大震災の経験から身近に寄り添うことの大切さを感じたので…」


   「最初は月に1回程度で良いと思って始めた。1カ月後に開いたら、あるお年寄りが『あなたはどなたでしたっけ』と。あの時はショックだった。やはり、"ボケ防止"には1週間間隔が良いようです」と川村会長。傍らで中村さんがうなずいた。「私は花巻に永住しようと考えている。故郷のことはもちろん忘れることはできない。でも、お世話になっているこの町の住民としてもちゃんと暮らしていきたい。この食事会は若返りの特効薬です」



ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
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