寒くなると気になり、また増えるのが乾燥肌。そんな乾燥肌の人がタッチパネル式のスマートフォンを操作すると、「動かない」「動きが遅い」といった不具合が生じることがあると、インターネットで話題になっている。
指先でカンタンに操作できるスマホだが、操作してもどこか反応が鈍いと思っている人は少なからずいるようだが、それはたまたまでもないようなのだ。
「聞かない話」と端末メーカー
指先でふれるだけで端末を操作できるスマホは、表面に液晶パネル(タッチパネル)が張られている。それを通じて、指先で指示を伝えるのだが、このタッチパネルが手荒れや肌荒れ、ひび割れ、乾燥肌などによって冬になると反応が鈍くなることがあるという。
また、指先が極度の乾燥肌の人や皮膚炎の人などは、季節に関係なく反応が鈍かったり、操作しても動かなかったりするらしい。
そんなことが実際にあるのか――。ソフトバンク・モバイルは「話は耳にしたことがあります。ただ、具体的な問い合わせなどはありません」と話す。
また、端末を製造する富士通やパナソニック・モバイルも「問い合わせも含め、聞かない話です」としている。
とはいえ、使う人によってタッチパネルの反応が鈍くなるケースはあって、ネットではその原因がタッチパネルに使用されている「静電容量方式」にあるとの指摘もある。
ディスプレイ装置などの「EIZO」ナナオによると、「静電容量方式の場合、タッチパネルの反応に個人差が出る可能性はあります。電荷が通りやすい人ほどタッチパネルの反応はよいのですが、乾燥や指の皮が厚いなど、なにかしらの理由で電荷が通りにくい状態になると反応しづらくなります」と説明する。
ただ、それがどの程度の乾燥で反応が悪くなるかはわからない。タッチパネルはさまざまなメーカーで生産されているため、「個体差があり、具体的に数値化することが難しい」そうだ。
「静電容量方式」はスマホのほか、iPadなどのタブレット端末やゲーム端末で使用されているタッチパネル。コストも安く、汎用性が高いことから利用が多く、銀行のATMや駅の切符券売機などにも採用されている。
乾燥肌の人は、こうした端末機を操作する際にも、反応が鈍いことがあるという。
ちょっとでも水分があれば、電気を通す
では、どうして乾燥肌の人が操作すると反応が鈍いのだろう――。静電容量方式のタッチパネルは、指先からのわずかな静電気に反応する仕組みだ。
そもそも、人の皮膚は電気を通さない。しかし、皮膚の表面に水分が付いていると電気は通しやすくなる。指先がパサパサになってしまう乾燥肌の人は手袋をはめているのと同じような状態にあるので、電気が流れにくいためにセンサーが応答しないというわけだ。
便利なはずのスマホなのに、動作が鈍いとかえってイライラしてしまう。解消するには、指先に息を吹きかけて湿らせたり、ハンドクリームを指先に塗ったりすることで、タッチパネルの操作は快適になるようだ。