筆者「グループ一九八四」のメンバー名が明かされる
「37年たっても『読みたい』という問い合わせがあるんですよ。でも書籍にはなっていません。今回、朝日新聞が話題にしたことで、あっと思いまして、であるならば、異例なことではありますが、全文を再掲載しようと。多くの人にこの素晴らしい論文を読んでいただきたいですし、今の日本、今後の日本を考える大きなヒントをもらえると思います」
木俣さんはそう話している。
この論文の筆者は「グループ一九八四」で、ジョージ・オーエルの近未来小説「一九八四」をもじったものだとされているが、いったいどんな集団なのかは謎のままだった。今号には、37年前にこの論文を掲載した当時の「文芸春秋」編集長、田中健五さんが寄稿し、筆者について明かしている。
それによれば、グループは各分野の専門家二十数人による学者の集まりで、中心人物は香山健一元学習院大学教授だったことが後にわかったという。そして田中元編集長の想像で、グループには公文俊平元東大教授、佐藤誠三郎元東京大学名誉教授、さらには清水幾太郎元学習院大学教授の研究室にいた学者たちがいたのだろうと書いている。
文芸春秋が今回、朝日の「エール」に応える形で再掲載に踏み切ったことで、この論文が再び注目されることになりそうだ。