「ソニーらしさ」本当に発揮できるのか 新社長の有機ELテレビ再参入宣言

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「ソニーにはテレビ事業の戦略がない」

   「さよなら!僕らのソニー」(文春新書)の著者で、長年ソニーを取材しているジャーナリスト、立石泰則氏はJ-CASTニュースの取材に、「ソニーはテレビ事業の戦略がない」と言い切る。仮に有機ELテレビに再参入を果たすなら、「CESで発表したクリスタルLEDテレビはどうしていくのか、何の説明もない」。

   ソニーは2010年、米グーグルが開発したインターネットテレビを発売した。グーグルは、基本ソフト「アンドロイド」に代表されるように「オープンソース」の旗振り役で、テレビはメーカーを問わないというのが本音だ。それでもソニーは、「誰もがグーグルテレビを作れるようになる」というリスクをとってまでグーグルと組んだ。その結果は、販売面での大苦戦。「技術のソニー」を捨ててトレンドに走り、事態を打開できない迷走ぶりを、立石氏は著書で指摘している。

   今回の平井副社長のテレビ事業に関する発言も、「次世代テレビ」「ソニーらしい」との言葉が出ても具体的にこうしていく、という方針が見えない。

   「2年後に黒字化」と期限を設けて「公約」を掲げた点も、「あまり意味がない」(立石氏)。黒字化の中身が重要であり、徹底したコスト削減で利益を計上してもそれだけではジリ貧になる恐れがある。黒字化しても、魅力あるテレビ製品が生み出せるとは限らない。サムスンやLGだけでなく、米アップルがテレビ業界に参入するとの話が再三伝わっており、ソニーとしてどんな対抗策を打ち出すのか、明確にしなければならない。

   平井副社長はこれまで、ゲーム事業で腕をふるってきた半面、テレビ事業のオペレーションは経験がない。ただし、社長に就任する4月まで2か月足らずの「猶予期間」がある。立石氏は「それまでにテレビ事業の状況を把握し、どこに向かうのかロードマップをつくるべき」と話した。

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