高橋洋一の民主党ウォッチ 
「落第生」日銀は言い訳やめよ 「インフレ目標」FRB見習うべきだ

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マスコミが「騙された」、「理解」と「目標」の違い

   国会で白川総裁は、実は日銀もFRBと同じようなことをやっていると言い訳している。日銀は、物価の安定を0~2%と「理解」しているという。マスコミはこれで騙(だま)されている。実は、「理解」と「目標」はまったく違う。

   ちなみに2006年3月9日の福井俊彦総裁(当時)記者会見で、はっきり説明されている。記者の「各国で既に採用されているインフレーション・ターゲティング、インフレ参照値とは別か」という質問に対して、福井総裁は「概念的に大きく異なるものである」と明言している。

   続けて「ターゲティングの場合はもちろんのこと、ECB(欧州中央銀行)のようなインフレの定義、あるいは望ましいインフレの定義のように、定義とか参照値とか言う場合には、政策委員会の意見、討議を経て1つの数字、ないしは1つの物価上昇率のレンジ、1つのことを決めるということであるが、そういったことはしていない」と答えている。

   福井前総裁のほうが正しく、白川総裁は誤魔化している。目標というのは達成しないと不味い。しかし、「理解」なら達成しなくてもいい。ここに日銀がインフレ目標といえない理由がある。日銀は実績のない落第生なのだ。

   1998年の新日銀法施行以降、日本で前年同月比のインフレ率が0~2%に収まっていたのはわずか1割6分。一方、FRBが1~3%に収めたのは実に7割以上だ。100点満点で20点も取れない落第生は「目標」とは言えなくて、70点超の優等生は目標と言える。やはり落第生は優等生を見習うべきだ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2005年から総務大臣補佐官、06年からは内閣参事官(総理補佐官補)も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「財投改革の経済学」(東洋経済新報社)、「さらば財務省!」(講談社)など。


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