財務省が2012年2月8日に発表した11年の国際収支速報によると、モノやサービス、配当、利子などの海外との取引状況を示す経常収支は、前年比43.9%減の9兆6289億円の黒字にとどまった。減少率は1985年以降の現行方式で最大となった。
東日本大震災や歴史的な円高などの影響で輸出が減った一方、原子力発電所の相次ぐ停止で液化天然ガス(LNG)などの燃料輸入が急増したことから、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が1兆6089億円の赤字に転落したことが原因。
旅行や運送などのサービス収支は1兆6407億円の赤字。訪日外国人旅行客が3割近く減ったこともあり、赤字額は前年より2264億円増えた。
所得収支は、経常収支を構成する4つの収支のうち、唯一黒字を確保。黒字額は19.9%増の14兆296億円。アジア新興国を中心に、海外子会社から受け取る配当・利子が増えた。