自殺対策「GKB47」を撤回 「AKB48もじり」批判に対応

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   自殺対策強化月間(3月)のキャッチフレーズ「あなたもGKB47宣言!」を政府が批判を受けて撤回した。人気アイドルグループ「AKB48」をもじった形で、「ふざけすぎ」といった反発が出ていた。

   「GKB」はゴキブリの略として使われることもある。インターネット上だけでなく、参院予算委員会でも問題視され、自殺対策に取り組む72の民間団体が共同で抗議声明を発表する事態に発展していた。

「あなたもゲートキーパー宣言!」へ変更

内閣府サイトでも「ゲートキーパー」を紹介している。
内閣府サイトでも「ゲートキーパー」を紹介している。

   自殺対策を担当する岡田克也副総理は2012年2月7日の会見で、「あなたもGKB47宣言!」を撤回し、「あなたもゲートキーパー宣言!」にすると発表した。「GKB47」は、「ゲートキーパー・ベーシック」の略と47都道府県を足したものだ。岡田副総理は「自殺の深刻さを十分にわきまえていないのではないか」という指摘が一部からあったことを理由に挙げた。

   「ゲートキーパー」は、「悩んでいる人に気づき、声をかけ、必要な支援につなげる」などの活動をする人で、「ベーシック」には、専門家だけでなく国民全体で見守っていこう、という思いを込めていた。

   「GKB47」に対しては2月6日、参院予算委で撤回要求が与党の民主党から出たほか、自殺対策に取り組む全国の72民間団体が、抗議声明をネット上などで公表し、撤回を求めた。

   岡田副総理による撤回発表で、「一件落着」なのか。

   実は抗議声明では、「もじり」問題だけではなく、「GKB」で訴えようとしていた「あなたもゲートキーパーに」との趣旨自体に対しても、「あまりにも無責任だ」と反発している。撤回後の新フレーズは「あなたもゲートキーパー宣言!」で、この抗議には答えた形になっていない。

「多くの関係者が傷つき、失望しました」

   抗議声明に加わった「NPO法人 全国自死遺族総合支援センター」の杉本脩子代表に聞いてみた。

   杉本代表は「問題は残りますが、容認範囲です」と答えた。「ゲートキーパー問題」については、「現場の取り組みはとても厳しいものです。ゲートキーパーは誰でもできますよ、と広く薄く呼びかけるのではなく、ゲートキーパーの質を高めていくべき時期なのです」と説明した。

   自殺対策を担当する内閣府などには、「批判もあったが、マスコミに多く取り上げられ、ゲートキーパーという言葉の啓発などに結果的に役立った側面もある」といった声もある。

   しかし、杉本代表は「当事者が言う言葉ではありませんね。単なる自己正当化に過ぎません。撤回はしたものの、これまでの政府の姿勢に対し、遺族を含めた多くの関係者が傷つき、失望しました」と指摘した。

   その上で、一連の「GKB騒動」について、こう評価した。

「『内閣府を批判すればいい』ということではなく、自殺問題を原点に立ち戻って考える契機にするべきだと思います」
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