国内市場は構造的な縮小
生命保険業界は、少子高齢化や人口減少によって保有契約高が14年連続で減少するなど、構造的に国内市場の縮小に直面している。そうした中で、歴史的な円高により海外投資の負担が軽減されることから、今後も各社は海外企業に対して 大型の買収などを積極的に仕掛けることになりそうだ。
自己資本比率の引き上げなど規制強化に対応し欧米金融機関が、非中核部門や資産の一部売却に動いていることも日本勢のM&Aには追い風だ。
だが、それがそのまま、各社の業績に直結する保証はない。
確かに足元の業績 は、銀行窓口での「一時払い終身保険」の販売好調など概ね堅調だが、国際的な 金融市場の混乱で運用環境が悪化し、2011年9月中間決算では大手4社だけで計 3000億円近い有価証券評価損を計上した。
欧州危機の影響は中国を含めた新興国市場にも波及し、輸出の減少などを通じて一時的に成長が鈍る恐れもある。生保業界の先行きは「欧州危機の動向次第」(大手生保)のようだ。