2011年秋に就航したばかりの次世代中型旅客機、ボーイング787型機にトラブルが相次いでいる。長距離路線では欠航が相次いだほか、製造中の機体にも一部不具合が発覚。新機種に「初期不良」は付きものとはいえ、ボーイング社の工場では、機体が作業員に乗り上げて重傷を負わせるという事故も起こっている。
ボーイング787型機は、部品の不具合や設計変更が相次いたことで知られている。世界で最初に787の導入を決めた全日空(ANA)は、当初は08年の北京五輪に向けて導入する考えだったが、実際に初号機の引き渡しを受けたのは11年秋のことだった。
機体後部の補強材に不具合が見つかる
それ以降も、どういう訳かトラブルが続出している。特に不具合が目立つのは長距離路線。例えば、12年1月21日に就航したばかりのANAの羽田-フランクフルト便では、すでに2回欠航している。1月26日にはフランクフルト発のNH204便でフラップの不具合が見つかって欠航。1月30日の羽田発NH203便は、飛行機を監視するためのソフトウェアに不具合があったとして欠航になっている。ただし、同社では、この2つのトラブルは、航空機のトラブルの中では、比較的小規模なものだと見ている。
また、航空専門サイト「フライトグローバル」によると、1月24日には、組み立て中の787の一部で、機体後部の補強材に不具合が見つかったという。ボーイング社では、何機で不具合が見つかったかは明らかにしていないが、現時点で少なくとも3機で不具合が発見されており、そのうち1機がANA向け、2機がカタール航空向けだとされている。ボーイング社では、「簡単な修正」で対応でき、「短期的な安全上の懸念はない」との立場だ。
ANA広報室では、この不具合については、
「ボーイング社からまだ連絡を受けていない」
としており、実際にANAに納品される機体に不具合があったかどうかは明らかではない。
787をめぐっては、日本航空(JAL)も災難に見舞われている。米シアトルのテレビ局「KOMO-TV」によると、2月3日には、ボーイング社の工場に隣接した空港で、787が作業員をひいて大けがを負わせている。この787には、JALの旧デザインの塗装がほどこされていた。