消費税アップに「給付つき税額控除」 低所得者対策の切り札になるか

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「共通背番号」の実施が必要

   また、実際に実施する上で、大前提になるのが税と社会保障の「共通番号制度」、いわゆる納税者番号制度。正確な所得の把握が不可欠だからで、例えば金融資産の利子・配当など不労所得で暮らす資産家が「低所得者」になってはいけないし、所得がほぼガラス張りのサラリーマンに比べ、個人事業者や農業者などは所得把握が不十分とされ、そうした「不公平感」をなくすために、共通番号で全ての収入をもれなく把握するというのだ。

   ただ、番号制度にはプライバシーの保護の徹底が不可欠で、個人情報保護のための第三者委員会設置を含め、膨大なシステムの整備などが必要。運用開始は早くて2015年1月とされる。

   つまり、「給付付き税額控除」は消費税率を8%に上げる2014年4月には間に合わず、2015年10月の10%への引き上げの時に実施されるということだ。このため、政府・民主党では8%に引き上げる時には、一定の所得水準以下の高齢者や非正規労働者、障害者らを対象に一律に手当てを支給する案が浮上している。

   同手当は年1万円程度を軸に調整されるというが、給付付き税額控除をどの程度の額にするのかは難しい問題。財務省の試算では、平均所得(年553万円)以下の世帯に対し、食料品にかかる消費増税分を還付しようとすれば必要額は年1兆円、衣料なども含めると1.5兆円の財源が必要になるという。

   「制度設計をよほど慎重にしないと単なるばらまきになりかねない」(野田毅・自民党税制調査会長=毎日新聞2012年1月20日朝刊)との懸念があるように、実施するにしても規模をめぐり、厳しい議論が続く。

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