ボランティアが被災者を観光案内 毎週月曜実施【岩手・花巻】

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賢治の「精神歌」を口ずさむ被災者の皆さん=花巻市の宮沢賢治記念館で
賢治の「精神歌」を口ずさむ被災者の皆さん=花巻市の宮沢賢治記念館で

(ゆいっこ花巻;増子義久)

   「被災者の皆さんにも花巻のことをきちんと知ってもらわなくては」―。いわてゆいっこ花巻では30日、初めての市内観光地めぐりを実施した。この日は釜石市や大槌町、山田町から同市内に転居した5人が参加。観光ボランティアガイドの伊藤慶治さん(72)の案内で市博物館と宮沢賢治記念館を見て回った。


   雇用促進住宅に一人で住んでいる山田町出身の貫洞アヤ子さん(78)はあの震災で長男(当時52)を失った。娘さんの嫁ぎ先である花巻市に転居したものの、ショックから立ち直れずに部屋に引きこもり勝ちだった。「一歩前に出なくちゃダメ」と隣に住む同じ被災者に誘われ、初めて参加した。


   生前、賢治が愛用したチェロの展示の前で5人は立ち止まった。「みんなで歌ってみましょうか」と伊藤さん。「日ハ君臨シカガヤキハ/白金ノアメソソギタリ /ワレラハ黒キツチニ俯(ふ)シ/マコトノクサノタネマケリ…」。賢治が作詞した「花巻農学校精神歌」をつっかえひっかえ、それでも一生懸命に歌った。「賢治さんの名前はもちろん知っていたけど、間近に接したのは初めて。何か元気を貰った感じ」と貫洞さん。観光地めぐりは今後、毎週月曜日に行われる。


   この日はまた昨年秋、地元花巻に事務所を開設した安部修司弁護士(28)による初めての弁護士相談会も開かれ、2人の被災者が相談に訪れた。両親を失った子どもの養育をしている祖母は「将来のことが心配だ」と訴え、家が流されてしまった被災者は残った土地の処分などについて相談した。安部弁護士は「待ちの姿勢ではなく、こっちから出向いて行って色んな悩みごとの相談にも乗りたい。遠慮なく連絡してほしい」と話している。

   連絡先は次の通り:

   花巻市上町5-22 村田ビル2F はなまき法律事務所

   電話 0198-29-5131

被災者の相談ごとに身を乗り出して聞き入る安部弁護士=花巻市のまなび学園で
被災者の相談ごとに身を乗り出して聞き入る安部弁護士
=花巻市のまなび学園で


ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
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