ユーチューブ英語版などに投稿されたボーカロイド「初音ミク」の動画が、次々に削除されているとして、ネット上で物議を醸している。それが不自然なために、ある疑惑が出ているというのだ。
海外にも、初音ミク現象は広がり、CMに取り上げられ、コンサートも行われた。日本語によるミク動画も、英語などに翻訳され、ユーチューブで紹介されている。
日本名かたって著作権侵害の虚偽申請?
ところが、2011年12月ごろから、その英語版やスペイン語版などに投稿されたミク動画が次々に削除されるようになったというのだ。
そして、経緯に不審な点が見つかったとして、12年1月31日には、ネットユーザー有志による「SAVE MIKU キャンペーン・プロジェクト」も立ち上がった。そのサイトによると、運営元のグーグルに著作権侵害による削除を訴えた申請者は、似たような日本名をかたっていた。それは、「笹×一」「笹金×一」「笹川×一」「笹村×一」といったものだ。削除された動画は、少なくとも20ほどあるようだ。
利用規約によると、動画投稿者への著作権侵害の訴えが2回を超えると、投稿者のユーチューブアカウントも停止される可能性がある。実際に、停止になったケースが6件ほどあったそうだ。アカウントの画面には、「著作権侵害に関する第三者通報が、以下の申立人を含む複数のユーザーから寄せられた」と表示され、「笹×一」らの名が挙げられていた。削除申請者には、企業名があるケースもあった。
ロンドン五輪歌手投票との関連指摘も
削除申請者がだれなのかは、まだ分かっていない。しかし、ネット上では、嫌がらせの指摘まで出ている。
それは、海外サイトのアンケートで、初音ミクがロンドン五輪のオープニングで歌ってほしい歌手の1位に選ばれたことに関連しているのではないかというものだ。
このアンケートでは当初、K-POPの歌手が軒並み上位を占めていた。ところが、2012年1月17日に初音ミクが1位に躍り出て、大きな話題になった。2月2日夕現在も、1位をキープしている。
つまり、海外でのミク人気を快く思わない韓国などのネットユーザーが、その妨害を企てようとしたのではないかとの見方だ。もっとも、別の利害関係者ではないかとの指摘もあり、真相は分かっていない。
ネット上では、グーグルが削除要請に次々応じていることに、不満の声も出ている。「誰でも削除申請すれば、ロクに確認もされずにアッサリ削除できるの?」「YOUTUBEって、雑なシステムだったんだな('A`)」…。
もっとも、ミク動画は、作成者らの許諾を得ずに、ユーチューブ英語版などに愛好者が転載した可能性もある。こうした場合には、第三者が申請したとしても、グーグルの判断で削除されることがあるかもしれない。
グーグルの日本法人に取材すると、広報担当者が不在だとして話が聞けなかった。
初音ミク発売元のクリプトン・フューチャー・メディアでは、取材に対し、「弊社でも、ご案内のような事実が発生していることを認識いたしております。現在、情報の収集を行なっております」とコメントしている。