北欧バルト海の海底で、スウェーデンの調査隊が巨大な物体を発見した。この海域には数多くの沈没船が眠るが、見つかったものは船体とは異なり円形をしていた。
音波探知機による画像を見る限り、形は映画「スターウォーズ」に登場する飛行船とそっくりで、ちょっとした「UFO騒動」を巻き起こしている。
ボーイング747に匹敵する大きさ
スウェーデンの海洋調査会社「オーシャン・エクスプローラー」は2011年6月、バルト海で過去に船と共に海底に沈んだ「秘宝」を探索していた。同社はこれまでも、沈没船から年代物のシャンパンやコニャックを大量に引き上げた実績をもつ。しかしこの時見つけたのは宝とは違う、謎の巨大物体だった。
音波探知機を利用して水深84メートル付近で撮影された画像には、直径60メートルの円盤に似た形が写り、海底に伸びる長さ約490メートルの物体の上に乗っているようにも見える。調査隊のひとり、ピーター・リンドバーグ氏は米CNNの2012年1月30日の記事で、最初はほかの隊員と「UFOじゃないのか」と冗談を言い合っていたが、画像のイメージがはっきりすると「20年近くに及ぶキャリアで、こんなものを見たのは初めてだ」と語った。投棄されたものか自然の現象なのか、見当がつかないようだ。
その後、同じ海底の200メートル離れた場所からは別の円形の物体が見つかったとCNNは伝えた。
オーシャン・エクスプローラー社はウェブサイト上で、最初に発見した円盤型物体の画像を公開している。特徴的なその形は、「スターウォーズ」に出てくる宇宙船「ミレニアム・ファルコン」に似ていると、画像を見た人から指摘を受けているようだ。円形の船体から、開いた鳥のくちばし状のパーツが突き出した形状の「ミレニアム・ファルコン」と、謎の物体は見た目が重なる。
サイト上ではさらに、円盤型物体と航空機を比較。直径60メートルの「円盤」に対して「ボーイング747型機」が全幅68.5メートル、全長76.3メートルだとして、その大きさを強調している。
潜水艦調査予定も資金不足が足かせ
CNNの報道を追いかける形で、米ABCニュースや米ニューヨーク・デイリーニュースなど複数のメディアが「UFO騒ぎ」を取り上げた。英大衆紙デイリーメール電子版「メール・オンライン」には多くの読者からコメントが寄せられ、「古代の海底火山の噴火口かもしれない」「これは地獄への入り口だ」「コンセントにも見えるぞ」など、独自の「解釈」があふれている。
謎の「円盤」の正体に期待は膨らむが、現状では音波探知機の画像だけが「証拠」であり実物が確認されたわけではない。オーシャン・エクスプローラー社では2012年5月をメドに潜水艦による本格調査を計画しているが、会社の運営に携わるのはリンドバーグ氏と、デニス・アースバーグ氏の2人しかおらず、海底に潜っての調査という危険を冒すには人的、金銭的な面から簡単ではないという。最初の発見から既に半年以上が経過しながら具体的な進展が見られないのは、このためのようだ。
バルト海の海底には、過去に沈んだ船の残骸が数万単位で埋まっているとみられる。そこから「財宝」が見つかれば調査費用も賄えるが、今回の「未確認物体」の場合は「もうけ」が期待できない点を、リンドバーグ氏は米ABCニュースで率直に明かしている。同氏は本格調査への意欲を示しつつ、資金援助を読者に呼びかけた。