日本株に外国人投資家が流れ込んでいる。おかげで、東京株式市場の日経平均株価は2012年1月に入って、11年末に比べて4%超上昇した。
欧州の債務危機による超円高の影響が続いているにもかかわらず、日本株は上がると見る専門家は少なくない。なぜなのか。
「世界の投資マネーの流れが変わった」
東京株式市場の日経平均株価は2012年1月31日終値で、前日比9円46銭高の8802円51銭。25日には一時8911円62銭まで値上がりし、昨年10月28日以来の9000円台に迫る勢いだった。
日本株を買い戻しているのは、国内売買代金の約7割を占める外国人投資家だ。東京証券取引所の投資部門別株式売買動向(東京・大阪・名古屋3市場、1部・2部と新興企業向け市場の合計)によると、2011年の外国人投資家の日本株の買越額は1兆9724億円で、3年連続の買い越しとなった。
11年3月の東日本大震災後の急落後はしばらく日本株を「割安」とみる投資が続いて、5月でまでは過去最長となる29週連続の買い越しを記録。ただ、欧州の債務危機が深刻化した昨夏以降は、急激な円高や世界的な株安で7~10月にかけて11週間連続で売り越し。外国人投資家が日本市場から引き揚げる動きが目立ち、株価は低迷した。
ドル安に加えて、昨年末は一時1ユーロ96円台まで円高ユーロ安が進行したこともあって、日本株は輸出関連株などを中心にますます厳しい状況にさらされた。
ところが、外国人投資家は年明けから「買い」の姿勢を鮮明にした。東証が1月26日に発表した第3週(16~20日)の投資家別株式売買状況は4週連続の買い越し。買越額も2132億円と、約6か月半ぶりの高水準となった。
野村証券投資調査部の若生寿一シニアストラテジストは、「昨年12月頃から、世界の投資マネーがリスクをとろうという動きに変わってきました」と指摘する。
若生氏は「昨年末、欧州中央銀行(ECB)が債務危機への対応に、断固抑え込む姿勢をみせたことで米英独などの株価が上昇しました。年明けにアジアも上昇。日本が出遅れていたわけです」と説明している。
5月以降、日本企業の「真価が問われる」
外国人投資家が日本株を買う理由に、「割安感」がある。たしかに、株価の割安感を示す指標となる株価純資産倍率(PBR)は、東証1部の上場企業平均で、目安とされる1倍を割り込むほどまで低下。多くの銘柄が「割安」とみていい水準にある。
ただ、前出の野村証券の若生氏は「それだけではない」という。「日本企業の経常利益は、11年度は10%減益ですが、12年度は増益を予測。企業によっては過去最高を記録した07年度の水準を上回るところも出てきそうなほどです。この点を外国人投資家が評価してくれれば、いま(の株価水準)がいかに割安であるか、わかると思います」と話す。
では、外国人投資家の「日本株買い」はいつまで続くのだろうか――。
「決算前の4~5月に一たんピークを迎えるでしょう。買い続けてもらえるか、日本企業の真価が問われるのはその後になります」(若生氏)
野村証券は「今年前半に、株価1万円に回復する」とみている。