ミッキーマウスに非常によく似たキャラクターの頭が吹っ飛ぶ、というシーンを描いた日本のゲームがディズニー側の怒りを買ってしまったようだ。
ゲームの公式サイトはすでに閉鎖され、詳しい理由は明らかにされていない。要求の中身や経緯などもはっきりしないが、ゲーム作者は、ディズニー側がゲームの開発中止と賠償金600万円を、制作した同人サークルに要求した、と明かしている。
公式サイトを無期限で停止
問題となったゲームは、同人サークル「AmoRico」が作った「ハナコ」というフリーソフト。そのなかで、「かいしんの一撃! 黒ネズミの頭を叩き潰した」という文言と一緒に、胴体と首が切断された「黒ネズミ」の姿が描かれている。
「黒ネズミ」は、敵として登場するキャラクターだが、どう見ても「ミッキーマウス」そのもので、名前を変えただけとしか思えない。また、今は削除されているが、「とれた首から、中に入っていた人の顔が出てくる」シーンも描かれていた、という話もネットでは流れていて、本当であれば、ディズニー側の「怒り」をかったのも無理はないとも言える。
「ハナコ」の公式サイトには、「込み入った事情があり、しばらくの間サイトの閉鎖と、ゲーム開発の停止を余儀なくされました。今日、2012年1月26日より、電子小説『ハナコ』公式サイトを無期限で停止いたします」という告知文が掲載されており、何らかの「問題」が発生したことは確かなようだ。
ディズニーが、著作権に厳しいことはあまりにも有名だ。
ネットでも、
「まさか訴えられないと思って公開したのかこれ」
「ディズニーだけは怒らせてはいけない。これは同人界の常識」
など、「自業自得」とういう声が多数上がっているが、当の制作者はどういう認識だったのか。
サイト閉鎖までに至る、制作者「コトハ」さんの心境が、ツイッターでつづられている。
「向こうは何を言っても批判を繰り返してきます」
「最近ミッキーに関して質問を頂くのですが、ディズニーはパロディーにそもそも優しい会社だと思うのです。海外では普通にファンアートが見かけられますし、著作権が切れた日本では尚更問題ないと思っています」(1月22日)
ディズニーの著作権の期限については諸説があるようだが、日本では、映画「蒸気船ウイリー」をミッキーマウスの初出と考えた場合、1989年に切れているという見方もある。このため、コトハさんは、今回の使用を「問題ない」と考えたと思われる。しかし、日本での使用も、ディズニーの日本法人の著作権やアメリカの法律、商標権なども絡み合い、決してクリアになったとは言えない。
また、今回は「首が吹っ飛ぶ」というシーンが、キャラクターの価値を減じ、それが問題視される恐れもある。
「ディズニーから苦情メールが来てました…。もの凄く怒ってるみたいだけど大丈夫かな…」
「キャラクターに対する名誉破損の表現が含まれているとかで、凄く責めて来ている。(中略)話し合いで和解できれば良いけど」
「ダメだった。向こうは何を言っても批判を繰り返してきます。(中略)向こうはゲーム公開・開発中止と賠償金600万円を要求するって言ってた」
と、26日立て続けに書き込まれて、最後は「僕はそんなにも悪いことをしたのだろうか。もし何かあったらごめんなさい…」という、謝罪の言葉で終わっている。
これに対し、
「(ディズニーに限らず)どんな会社のキャラクターだって、首をはねるのはまずいだろう」
「自分が何をやったかまだ分からないのか。ゆとり?」
などと、制作者本人がいまだ「問題」を分かっていないと指摘する声も上がっている。
いずれにしても、真偽はまだはっきりせず、話題だけがひとり歩きしている状況だ。
(追記:下記の「関連記事」に続報があります)