双方向の通信機能を備えた新しい次世代電力計、「スマートメーター」の導入に向けて、電力会社が本格的に動き出す。
先行する関西電力はすでに実証実験を終了し、現在本格導入に向けた検討を重ねている。東電も検討を始めたようだ。さらに、関電グループの通信会社であるケイ・オプティコムは750世帯のモニターを対象に、2011年9月末からタブレット端末を利用した「電力見える化サービス」の実証実験をスタートしていて、12年1月末まで実施している。
スマートグリッドの構築にもつながる
東京電力が2018年度までに約1700万台とほぼ全世帯に、「スマートメーター」を設置するとの導入計画が明らかになったと、2012年1月22日付の日本経済新聞が報じた。
東電は更新を迎える電力計を2012年秋以降に順次受注し切り替えを進め、18年度には家庭の約9割をスマートメーターにする。
もともと、東電はスマートメーターの機能の検証を目的とした実証実験を、2010年下期から開始。対象となった家庭にスマートメーターを順次設置していき、11年10月まで実施する予定だったが、東日本大震災などの影響で延期していた。
先行する関西電力はすでに実証実験を終了し、管内には約109万台の「新計量システム」(スマートメーター)を設置している。このシステムは1999年から研究開発に取り組んでいて、通信機能をもつ新型の電力計に光ファイバー網などを活用する仕組み。
毎月の電気使用量に加えて、過去24か月の電気使用実績とその使用量に対するCO2排出量を、「電気ご使用量のお知らせ照会サービス」のサイトでチェックできるほか、このサービスを利用して環境家計簿「エコeライフチェック」に自動連携され、電気使用量や電気料金を確認できる。
「スマートメーター」を導入すれば、消費者は電気使用量や電気料金をほぼリアルタイムで把握できたり、家電製品とつないで使用電力を制御したりできるほか、遠隔操作が可能なことから停電時に遠隔から通電状態が確認できたりもする。
電力会社にとっては、電力使用量に基づくコンサルティングサービスと効率的な電力供給が可能になり、検針作業が自動化できる。また震災後の福島原発の事故の影響で注目される太陽光や風力などの自然エネルギーの導入と安定的な運用を可能にするスマートグリッドの構築にもつながるといったメリットが見込める。まさに、次世代の電力計なのだ。