首都高を突っ切る方が安いという指摘も
巨額な事業費には、消費税引き上げ論議が厳しさを増す中、将来世代の負担増の問題として指摘される。さらに、高度経済成長期以降に造られ老朽化が進む道路や橋などの維持更新費の増加が予想されることから、選択と集中やコスト削減への取り組みが求められるところだが、今回の着工決定をめぐり、「そうした本質論議はほとんどなかった」(野党関係者)。
加えて、今年から実施された首都高の距離別料金制との整合性を問う声もある。交通ジャーナリストの清水草一氏は「(外環道などの)環状高速が開通しても、首都高を突っ切った方が安いのでは、コスト命の物流トラックの多くはそちらを通る。馬鹿な話じゃないか!」と批判している。
外環道は、用地買収の困難さとともに、環境への負荷も考慮して地下深く建設されることになったが、地下水への影響懸念のほか、インターやジャンクション周辺では車の通行増による環境悪化が懸念され、「少子化で人口が減っていく中で、こんな巨額を投じる意味はない」とする住民らの反対運動も根強い。政府や都の思惑通り、工事が進むか、予断を許さない。