東京スカイツリーから雪塊が次々に落下する様子が伝えられ、危なくないのかと不安の声が出ている。運営会社の東武タワースカイツリーでは、「警備員を配置するなど最大限の対策をしています」と説明している。
ツリーの展望台近くから、いくつもの雪塊が風にヒラヒラ舞って、下に落ちてくる。中には、急にスピードを増してくる雪塊もあった…。
冷蔵庫で凍らせたような10センチ塊の情報も
これは、東京スカイツリーのウォッチングを続けている男性(66)が2012年1月24日にユーチューブに投稿した約5分間の動画「東京スカイツリー 落雪ショー!?」の1シーンだ。
東京都心では24日朝にかけ、6年ぶりとなる4センチの積雪を記録した。この日の最低気温も、平年より1.5度低い0.8度に。報道によると、この雪でスカイツリーでは、電波塔の鉄骨に積もった板状の雪塊が風に舞って、周囲100メートルの地面に次々に落下した。直径が2、3センチから30センチまであり、中には、長さ60センチ、幅30センチの雪塊もあったそうだ。
ツリーでは、警備員約50人が付近の道路などを巡回して、歩行者らに注意を呼びかけていた。けが人や建物の被害などはなかった。
前出の投稿動画を見ると、ほとんどの雪塊はヒラヒラ舞っており、そのままぶつかってもケガをするほどではないかもしれない。しかし、ビチャと落ちる音が時々するほか、中には、急にスピードを増して、バンと衝撃音が響くケースもあった。
同じようにウォッチングをしている都内在住の会社員男性は、自らの「東京スカイツリー成長記録写真ブログ」で24日、冷蔵庫で凍らせたような10センチぐらいの氷雪が上から落ちてきたと写真付きで紹介した。
「塔体に雪が付着、深夜の雨で水を吸い、朝の放射冷却で凍って、朝日で溶けて剥がれて落下。という感じだと思います。氷雪には、塔体に付いていた証拠である、綺麗なRがかかっていました」
工事用の柵に落ちると、「キーン!」と響いていたといい、「頭に当たったら危ないと思います」と言っている。
東京タワーでは構造の違いもあって「被害」は出ていない
雪塊落下の危険性について、東武タワースカイツリーの広報担当者は、こう釈明する。
「ヒラヒラ舞う1~4センチやこぶし大の雪塊は、私どもも確認しています。今回は、パウダー質の雪でしたので、一概に固まっていて危険だとは言えないと思います。落ちたのは、敷地内が多く、風が吹けば周囲の住宅街に落ちることもあるようですが、被害は聞いていません」
雪対策としては、電波塔の鉄骨を円形材にして雪がたまりにくくしているほか、展望台には、外壁にヒーターを、屋上外周部にも立ち上がり壁をそれぞれ設置しているとした。さらに、塔体の複数個所にカメラを設置して積雪を監視し、固まらないように手で雪を払う作業もしているという。
ブログなどで固い雪塊も落ちている可能性が指摘されているが、広報担当者は、設計ミスなどはないと話した。そのうえで、「自然現象ですので、落雪は完全に防げませんが、警備員を配置するなどして不安を減らせるように最大限の対策をしていきます」としている。
ところで、同じ電波塔の東京タワーでは、どうなっているのだろうか。
運営会社の日本電波塔では、総務課の担当者が取材に対し、開業53年で過去に一度も雪塊落下によるけが人や建物の被害はないと説明した。
「東京タワーは、末広がりになっており、スカイツリーのように狭い敷地内に建っているわけではないんです。東京タワーの真下にチケット売り場などがある4階建てのビルがあり、雪塊のほとんどがその屋上に落ちます。天気が悪いときは立ち入り禁止にしており、屋上に上がれないようになっています。ですから、雪が降っても、警備員を出したり、雪を払ったりするような対策は特にしていないんですよ」