瀬戸内海の色をめぐって、兵庫県知事と広島知事の場外乱闘が起こっている。NHK大河ドラマ「平清盛」の映像について「真っ青な海の色が出ていない」と批判した兵庫県知事に対し、広島県知事が「瀬戸内の海は青くなく、緑色、翡翠色だと思う」と、応戦したのだ。
ネットでも、「まぁ群青色だな」「沖縄やハワイの海を青と呼ぶなら、瀬戸内の海は緑かも」など、論争が起こっているが、地元の人たちは「何色」と認識しているのだろうか。
「湯崎派」と「井戸派」に分かれバトル
口火を切ったのは、ドラマ初回放送後に「画面が汚い」と批判した兵庫県の井戸敏三知事だ。2012年1月23日の記者会見で、「瀬戸内海に船が浮かぶ場面で、真っ青な海の色が出ていない。瀬戸内海の自然をきちっと映し出して欲しい」と、新たに注文を突き付けた。
これに対し、広島県の湯崎英彦知事は24日の記者会見で応戦。海のシーンは広島県呉市で撮影していることもあり、記者に問われた知事が、「瀬戸内の海は青くなく、緑色、翡翠色だと思う。それが瀬戸内の特長で美しさなので、青じゃなくてもいい」と、反論した。
ネットでも「湯崎派」と「井戸派」に分かれ、「ガキの頃、呉線で通ってたけど、季節によっては緑(碧)だった」、「瀬戸内海の海の色も青は青」と、楽しくバトルを繰り広げているが、結論はまだ出ていない。
地元で暮らす人は、瀬戸内海の色を何色だと思っているのか。広島市の水産課に問い合わせたところ「内海なので、さまざまな条件があり色は一定ではない」と話す。
本当はエーゲ海と比較されるほど美しい
まず大前提として、瀬戸内海は内海のため、太平洋や日本海とは異なる点が多い。
「水深が浅い」「水の交換がさほどない」「島が多く点在し影ができる」という条件のため、太平洋のような紺碧の色にはならず、場所で見える色が変わりやすいのだ。
「1年を通して毎日海を見ていますが、季節や場所によって色はまちまちだと思います。地元でも住んでいるところによって認識は違うのではないでしょうか。たしかに翡翠色に見えることもありますが、『何色か?』と聞かれたら、やっぱり『青』と答えるでしょうね(笑)」
また、瀬戸内海はギリシャのエーゲ海と比較されることもあるそうで、「ドラマの中で、(瀬戸内海の)色がくすんで見えるのは、あくまで番組上の演出だと思っています」と、海の美しさをアピール。広島県三原市の観光協会も、「真っ青な色だと思いますが、光の当たり方で色が変わりきれいです」と、話す。
「話題づくりのプロレス開始だな」など、冷ややかな声も多いが、「次回放送」に注目が増したのはたしかなようだ。