「投資銀行のイケイケビジネスモデルが通用しなくなった」
「グローバル・マーケッツ」はホールセール部門と債券、株式売買業務の間の中間管理職的な役割だが「もはや不要」として廃止が決まり、今後はホールセール部門が直接、債券や株式の売買を管理することになる。野村HDとしては不振の法人向け業務の再編でもある。ジョットワニ氏は債券売買業務の責任者でもあったが、そのポジションの後任には、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)出身で2010年に野村HDに移籍し執行役員格のスティーブン・アシュレー氏が就く。こちらも「リーマン切りの象徴」と見られている。
野村HDは2008年秋、「リーマン・ショック」の名前の由来となった米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻を受け、リーマンのアジア欧州事業を買収した。これで約8000人のリーマン社員が野村HDに入ったとされる。リーマンの北米事業は英国金融グループのバークレイズが引き継いだ。
しかし、結果的に野村HDのリーマン買収は裏目に出たとの見方は金融界に多い。「旧リーマンの人材流出は激しく8000人のうち3分の1は入れ替わった」(野村HD幹部)という面もあるが、いずれにせよ結果的に2011年9月中間連結決算の283億円の最終赤字は海外事業の低迷がもたらしたことに変わりない。「世界的な規制強化で昔のリーマンがイケイケどんどん的にやっていた投資銀行のビジネスモデルが通用しなくなった」(外資系アナリスト)ことも深刻で、「野村HDがリーマン買収をどう総括するか」を市場は注目している。