今夜、日本でもオーロラが見られるかも知れない――。東京工業大学理学研究流動機構の片岡龍峰博士によると、23日のお昼くらいからオーロラ出現への条件が高まっており、1月24日から25日にかけ、北海道の陸別町あたりでオーロラが見られる可能性が出てきたそうだ。
「大規模」「高速」「大量」の三拍子がそろった好条件
オーロラは、緯度65度から80度にかけたドーナツ状の領域に発生する確率が高い。そのため、日本で見られるのはかなり珍しいことだが、なぜ今回は可能性が出てきたのだろうか。片岡博士は、23日の日中に、3つの「条件」を確認したという。
ひとつめは、大規模な「太陽フレア(恒星の爆発現象)」が起こったこと。2つめは、大規模フレアにより、秒速2000km程度にもなる高速の「コロナ質量放出(大量のプラズマを惑星空間へ放出する現象)」が地球に向かってふき出したこと。3つめは、通常の1000倍にもなる「太陽からの放射線」が観測されたことだ。このレベルの太陽放射線嵐は2005年5月以来だという。
「大規模」「高速」「大量」という三拍子がそろっており、この上南向きの「磁場」など諸条件が整えば、日本でもオーロラが見られるほどの巨大な磁気嵐が発生する可能性が高いと、博士は話す。
23日、博士がツイッターでこのことをつぶやくと同時に情報は一気に広まり、「横浜で見れたら嬉しいけど…」「山口からも見えるかな? 北に行かないと無理ですか?」など、自分の目で見たいがどうすればいいかという問い合わせが相次ぎ、ちょっとしたお祭り騒ぎになった。
ところがその一方で、2ちゃんねるなどでは、「巨大地震が来るーーーー!」との「終末論」が上がり、どのスレッドの内容も穏やかではない。なぜ、オーロラが地震と結びついてしまったのか。
地震とオーロラに1対1の対応関係はない
「オーロラ巨大地震の前兆説」がネットで噴出したのには理由がある。「東日本大震災」が起こった2011年3月11日は、磁気嵐のピークでオーロラ活動も激しかったのだ。
これについて博士は、「あくまで偶然」と、地震との因果関係を否定した。
「確かに3.11は磁気嵐のピークだったのですが、あれは偶然。たまたまです。あの日は弱い磁気嵐で、もっと大きい磁気嵐も起きています。磁気嵐と大地震には1対1の対応関係はありません」
「また原因不明の停電とか起きるんかね?」など、何が起こるか分からない不安をこぼす人もいるが、大半は「日本でのオーロラ観測」にかける期待は大きい。博士は、「磁気嵐がどれほどの規模にまで発達し、日本でもオーロラが確実に見られるか否かというのは、実際に磁気嵐が始まってみないと誰も分からない」としたうえで、最後にこうアドバイスする。
「北海道のできるだけ北の晴れた場所で、地上から北の空を長時間露出してダメもとで念のため徹夜の撮影をします。そう何度もあることじゃないので」
今晩の北海道陸別町の天気は「晴れ」。絶対に見られるわけではないが、「日本オーロラ」の出現を期待せずにはいられない。