野田首相「自民元首相演説を引用」作戦
また、岡田副総理らは、年金改革に伴う文脈で「さらなる税率引き上げ」の必要性を指摘しているが、現行年金制度のままでも「将来の社会保障費増」にいずれ対応できなくなり、さらなる増税が必要になるとの政府試算もある。政府目標の「2020年度黒字化」のためには、「13~16%」への引き上げが必要との数字もある。
一方、現時点での消費税増税決定へは反対論もある。民主党の小沢一郎元代表が繰り返し反対を表明しているほか、自民党の中川秀直元官房長官は1月23日のブログで、「デフレ下の消費税反対」を旗幟鮮明にし、消費増税への対案を示すべきだ、と自民党執行部に求める形で野田政権の姿勢を批判している。
自民党は、2010年の参院選で「消費税10%への増税」をマニフェストに盛り込みずみだ。民主党への反対姿勢は、あくまで「消費税10%」そのものではなく、「マニフェスト違反」に対するもので、「分かりにくい対応だ」との指摘もある。
野田佳彦首相は1月24日の施政方針演説で、「与野党の信頼関係」や消費税などの税制改革の必要性を訴えた、福田康夫、麻生太郎両元首相の過去の施政方針演説を引用しつつ、自民党などに協力を求めた。「自民党のカオを立てた呼びかけ」ともとれるが、「消費税10%への姿勢をはっきりさせて欲しい」との皮肉にも聞こえる。
野田首相の「自民元首相演説を引用」作戦や、岡田副総理らの「10%からさらなる引き上げが必要」論は、当面の「10%へ引き上げ」議論にどんな影響を与えるのだろうか。