ライバルが手を組む動きも
年末に手数料引き下げを発表したのはカブドットコム証券。 カブコムは同業他社に比べて手数料は高い方だったが、2012年2月から現物株の売買手数料を最大8割強引き下げる。個人投資家の株取引活性化を狙うが、「薄利多売」への転換は収益圧迫と背中合わせの勝負に出たことになる。
松井証券が「取引活性化の起爆剤に」と11年10月に始めたのが、投資家が証券会社から株や株の買い付け代金を借りて取引する「信用取引」での新サービス。信用取引の手数料は無料で、担保となる保証金を一定額積んでおけばそれをもとに1日に信用取引を繰り返しできる。業界の常識を覆すものとして注目されたが、必ずしも思惑通りには個人投資家に活用されてい ないようだ。
グローバル展開に活路を見いだそうとするのはマネックス証 券。11年4月には米ネット証券のトレードステーショングループを約340億円で買収すると発表し、夏までに傘下に収めた。これに続き11月にはトレードステーションを通じて米国のFX(外国為替証拠金取引)会社IBFXグループを約13億円で買収したと発表。世界的に需要が高まるFXで収益源を拡大する構えだ。
このほか、ネット証券大手5社のうち松井を除く4社は2011 年、投資信託の共同販売プロジェクトを立ち上げるなど、普段のライバルが手を組む動きもある。ただ、肝心の東京株式市場で取引量が本格上昇に転じる気配は見えず、苦戦は続きそうだ。